大嫌いだった運動会
私の両親は足が速かった
投げるのも打つのも跳ぶのもうまくて
子どもの頃は二人とも
一目置かれていたらしい
そんな二人から生まれた私は運動が苦手
走っても投げても打っても跳んでも
何をやってもダメだった
物陰で本を読んでいる方が好きだった
運動会ともなると二人は私を責め立てた
なんでいつもびりっけつなのか
フォームがみっともないのか
家族と一緒に食べるお弁当の時間は
本当に地獄だった
涙をぽろぽろ流して食べた、
運動会のお弁当の味を私は思い出せない
私はそれでも一生懸命やったのに
今は私がおかあさんになった
娘は私にそっくりで運動が苦手
私は運動会がどんなにつらい行事だかわかっているので
娘がどんなにもたもた走っていようと
絶対に責めないし圧をかけるような励ましもしない
ああ、私の娘なんだな、とくすっと笑うだけ
一生懸命やっている姿はとても可愛い
責めるなんてとんでもない
朝早く起きて作ったお弁当を娘がおいしく食べて
大人になったとき懐かしく思ってくれればいいな
運動すべてを大嫌いになってしまわなければいいな
それが、私の心からの願い
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます