ぼっちゃんとわたし

わたしの役目はぼっちゃんを守ることです


ぼっちゃんが生まれて

ふにゃふにゃのぐにゃぐにゃでうちにやってきたとき

おとうさんとおかあさんは言いました


ほら弟が出来たぞ、守ってやってくれ


だからわたしは

ぼっちゃんを大事にしてきました

尻尾を引っ張られても

耳をいじられても

おやつをとられても

怒ったりはしません


何年も経って

ぼっちゃんは二本の足で立って

だいぶすばしこく走れるようになりました

まあ、わたしほどではないのですが

ずいぶんりっぱになったものです


最近、おとうさんとおかあさんは

ずっと変です

ぼっちゃんの前では優しいのに

ぼっちゃんが寝てしまった後

とても冷たい言葉をかけ合います


今、おとうさんとおかあさんは

話しあっています

長い長い時間、ご飯も食べずに


ぼっちゃんはぼっちゃんのお部屋にいるように言われて

お気に入りのお菓子を持たされて

でぃーぶいでぃーを点けてもらって

じっと見ています

いつもなら楽しそうにみているのに

今日はぼっちゃんの目から

ぼろぼろと大きな粒の涙が落ちてきます


わたしはただぼっちゃんの横に座って

どうすればいいのかわからなくなっています


わたしはぼっちゃんを

悲しいことつらいことから守るためにいるのに

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