ビフォアー・プロローグ 3

 次は半獣種ですね。

 少し違いますけど、本当に分かりやすく言うなら、『脊椎動物の遺伝子を取り込むことで、動物を人の骨格にした姿へ変化できるようになった人種』です。


 いえいえ! 一種類だけです! どの動物に獣化できるかは生まれながらに決まっています。

 その動物の性質は獣化していなくても、多少の影響を及ぼすので、今は出生前診断をして、ちょっと人の社会では難ありな動物の場合、薬で違う動物に変えるのがメジャーですね。ナマケモノやコアラだと、仕事に就くのもままなりませんから。


 当然と言えば、当然ですが、獣化するとさらにその動物の性質が濃くなります。

 嗅覚が鋭くなったり、筋力が増加したり、空を飛べるようになったり。

 それこそほとんど人型の動物です。


 けど、それだと困るじゃないですか。

 鋭い聴覚のせいでストレスが溜まったり、弱い視力のせいで物にぶつかったり。

 結局のところ、元は人間の社会ですからね。人型の動物は、人間と比べて、強くも弱くもあるんです。


 なので、基本はあなたと同じような外見をしています。必要な時だけ動物の姿に変わる──いわゆる、獣化を行う人が多いです。

 魔力を使って、動物の遺伝子だけを隔離するんですよ。小さい頃に練習するんです。箸や鉛筆の持ち方を習うようにね。

 もちろん、妖精種ほど自在に扱えるわけではありませんし、上手い下手の個人差もあります。常に気を使う必要もあるので、気付かぬうちに何処かが獣化してしまっている人や、開き直って獣化したままの人も一定数はいますね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る