第3話 登校日

退院後、2人で話し合った結果しばらくは共に登校して、共に行動することに決めた。


「他の生徒から見たら、あり得ない組み合わせだな!互いに違う家庭に突然世話になるのって不安じゃないか?」

「初日は不安だったけど、2日目は何ともなかったよ?もしかして、家では学校と違って大人しいとか?」

談笑しながら、学校へ入っていきクラスメートに普段通り、軽く挨拶。


「おはよう!みんな~心配かけてすまなかったな。」

「そこ、気弱くんの席だよ?不良くんは一番後ろ。」

つい、いつもの感じで席に着こうと自分の席に座ってしまい、同じクラスメートに指摘を受けてしまった。

「あぁ、すまないね。勘違いしてしまったよ…。」


一方、中身は不良の方はと言うと…。

静かに教室に入り、静かに着席。

誰も、正体があの不良だとは思わないだろう。

それくらい、静かに教室に入り着席して、持参した本を読んでいた。

本当なら、本など読みたくは無いだろうし、談笑したりしたかっただろう。


後から見ると、不良くんの姿が寂しく見えた。

「大将。この前仰っていた洋菓子です。先日は品切れで買えなかったので、今日お持ちしました。

是非、お食べ下さい。」

不良グループの手下から洋菓子を貰ったが、本来ならば不良くんが受け取るはずだったお菓子。

「今、食べなきゃダメか?そういう気分じゃないんだ。ごめんな。」

この日の昼休みに、不良グループが居ない隙を狙い、こっそり不良くんに洋菓子を渡した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る