私の言葉

槇灯

私の言葉

言葉を吸って

ここまで

生きてきた


また吸ってるなんて笑われた


この身体はいっぱいの言葉で満たされてる

まだ空いてるだろうか

溢れそうで 零れそうで

手の先からこの世界へと溶けだしてしまいそう



言葉を吐いて

未だに

死にきれないでいる


まだ吐くのかと嗤われた


お前の周りは吐瀉物だらけじゃないか

もうたくさんだ

終わろうか 止まろうか

足先からせり上がってくるのは恐怖だ



私の話す言葉は

今までに誰かがくれた言葉だ

なにひとつとして 私が作った言葉なんて

世界のどこにもないじゃないか!


愛もIもあいもアイも誰かが作った言葉!


酸素を二酸化炭素に換えて

それだけで

生きていけたら良かったのに


吸って はいて 吸って はいて


この身を


擦って 剥いて


残りカスを撒き散らしているってのに

生きてるだけで死にそうなのに


なんで呼吸を止めないのさ


なんで


それを片付けないのさ



生きていたいのさ 


誰かに聞いて欲しいのさ


それが私の言葉なのさ


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る