スターピープル

第64話 テラニズム

 ヘレニズムは東西文明の融合であった。世界六大陸が地続きになったら、東西南北世界が融合される。アフリカにロシアの文化が入れば、暑さをしのぐ方策が生まれるかも知れない。あこがれのヨーロッパも、リニアに乗っているだけで訪れることが出来る。世界一周旅行も身近なものになり、各地の特産品も一両日中には味わえる日が来るだろう。

 

 こんな時代はかつて無かった。人や物が一カ所にとどまっているのは好ましくない。人体にたとえれば、鬱血している状態だ。逆立ちのような荒療治でもして血を循環させるのが、その組織を活性化させ長持ちさせる秘訣だ。

 

 世界改造計画は、パラダイスをこの地上に作り出す運動でもあった。占い師や怪しげな霊媒師が預言する第三次世界大戦は、起こらないのであろうか。 

それは、核や戦闘機を使った旧来の形態で起きるのでは無い。そしてその大戦は、すでに起きていたのだ。


 国家よりも力を持った巨大資本企業。彼らが仕掛けた経済戦争で、人類は仕事にありつけるものの、毎日の生活は常に苦しい逼迫状態に追い込まれていた。

 世界市民たちは、漠然とした不安感・虚無感にさいなまれていた。中にはその迫り来る魔の手に逆らう者たちもいた。だが、彼らを待っていたのは、われの無い奇人・変人扱いであった。

「お前は頭がおかしい」と薬漬けにされ、病院から出てこれなくなるという悲劇が世界各地で起こった。



 ――藤原メシヤ――


彼も、その悲劇に巻き込まれた一人であった。彼は小学校の出席日数が、ほぼ足りていない。メシヤは幼少の頃、いまとは違って、かなり攻撃的な性格であった。先生や周りの大人たちの矛盾点を問いただし、追及した。当時の教師たちは、メシヤのことをアスペルガーではないかと煙たがった。


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