805.コンテスト出品メニュー、決定!
『美味い屋台決定戦! 屋台一番グランプリ』に出店するメニューを決めるための屋台バイキングが終わった。
みんな一通りのメニューを食べてくれて、意見を出してくれた。
ここに用意したメニューを全部出せばいいんじゃないかという意見もあったのだが、コンテストに出すものはある程度絞った方が良いのではないかという意見もあった。
最終的には、上位入賞を狙う主力となるものと、にぎやかし的に出すものというかたちで、ほぼ全てのものを出店することになった。
ただ一つの屋台の中で、いろいろメニューがあると評価がばらける可能性があるので、メニューは絞り込むことになったのである。
そして、最終決定した。
まず上位入賞を狙う一押しメニューは、この三つだ。
○『カレーライス』屋台
○『とんかつ』屋台
○『ツナマヨ』屋台
『カレーライス』は、中辛のカレーライスの一品勝負にした。
付け合わせの福神漬けは入るが。
『とんかつ』は、単品でコロッケのようなかたちで提供することにした。
サイズを小さくして、コロッケサイズのミニカツにして提供するのだ。
『ツナマヨ』は、迷った末に、『ツナマヨ』自体の良さをアピールしようということで、今回は『ツナマヨ』単体で提供することにした。
ただ付け合わせというかたちで、小さなパンも一緒に提供する予定だ。
『カツカレー』を出品した方が良いのではないかという意見も結構あったのだが、『カレーライス』と『カツカレー』で票が割れる可能性があるという指摘もあって、『カツカレー』の出品は見送ることにした。
にぎやかしとして、出店するのは以下のメニューだ。
にぎやかしといっても、もちろん上位入賞を期待しているメニューでもあるのだ。
○『おにぎり』屋台——今回は『鮭おにぎり』だけに絞ることにした。
『ツナマヨ』は単体で出品するので、票がばらけるのを防ぐために見送った。
○『ホットドッグ』屋台——普通に『ホットドッグ』と三種類のソースだけにした。
新メニューの『揚げかまぼこドッグ』は、出品を見送った。
ソースは、『マヨネーズ』『ケチャップ』『つぶつぶマスタード』の中から選べるかたちになるわけだが……なんとなく……ソースがすごく人気になりそうな気がしないでもない……。
だがソースだけを、屋台メニューとして出品するわけにはいかないからね。
○『コロッケ』屋台——『ジャガイモコロッケ』だけに絞って、出品することにした。
○『フレッシュジュース』屋台——ジュースの種類があると、印象がばらけてしまうので思い切って絞り込むことにした。
新メニューの『レモンサイダー』だけにしたのだ。
まぁ一種の賭けである。
○『かき氷』屋台——これは『かき氷』一品で、シロップが四種類あるというだけなので、シロップの数は絞らないでそのままいくことにした。
シロップは、『練乳』『野イチゴ』『ブルーベリー』『レモン』の四種類である。
○『揚げカマボコ』屋台——今回は 『揚げカマボコ』一品に絞ることにした。
イカ入りなどのバリエーションがあっても、それほど印象はバラけないかもしれないが、他の屋台同様に一品に絞るという結論になったのだ。
○『せんべい』屋台——『パリパリエビせんべい』一品に絞ることにした。
○『アメリカンドック』屋台——これはそのまま出店だ。
もともと一品しかないからね。
ソースは、ホットドッグと同じ『ケチャップ』『マヨネーズ』『つぶつぶマスタード』の三種類だ。
以上が、『美味い屋台決定戦! 屋台一番グランプリ』に出店するラインナップとなった。
だが俺には、皆がアッと驚く隠し球があるのだ!
甘いものの屋台が欲しいなと思っていたし、子供たちが喜びそうなものを作りたいと思っていた。
もちろん大人も喜ぶだろうけど。
そして密かに、開発をしていたのだ。
そのメニューは……『わたあめ』だ!
『わたあめ』屋台を出そうと思う!
俺はスタッフに合図を送って、密かに用意していた『わたあめ』の屋台を、中庭に持ってきてもらった。
「これは、『わたあめ』と言って砂糖を使ったお菓子です。ふわふわで綿のような甘くて美味しいお菓子です。これもコンテストに出そうと思っています。まずは皆さんの感想を聞かせて下さい」
俺はそう言って、早速『わたあめ』を作る実演を始める準備をした。
子供たちは目がキラキラしている。
『ドワーフ』のミネちゃんは、よだれが垂れそうになっている。
俺は、『わたあめ』を作るために、『さとうきび』の煮汁を結晶化させ、それを加熱して『ザラメ』を作ったのだ。
そして『わたあめ』を作る装置も、『ドワーフ』のミネちゃんに協力してもらって、作ることに成功したのだ。
真ん中の筒状の部分に、『ザラメ』を入れて加熱する。
溶けたものを筒状パーツを回転させて、空いている穴から遠心力で吹き出させる。
それを棒に絡め取れば、『わたあめ』の完成なのだ。
真ん中の筒状パーツを加熱する仕組みと、回転させる仕組みが作れれば、結構簡単にできちゃうのだ。
よくお祭りの屋台で目にした『わたあめ』を作る装置と、見た目も同じようなものが作れてしまったのだ。
ただ魔力を流して稼働させるので、完全な魔法道具だけどね。
魔法道具としての仕組みがシンプルだから『階級』は、『
『名称』は、『魔法のわたあめ職人』という名前にしてしまった。
この装置の名前は、まだ誰も知らないけどね。
俺的には、まあまあいい名前じゃないかと思うのだが……やはりジト目が発動されてしまうのだろうか……。
名前を聞かれないことを祈るのみだ……。
俺は、『わたあめ』製造機に『ザラメ』を入れ、魔力を流す。
すると真ん中の筒状のパーツが回転を始めた。
そして開いている穴から、溶けたザラメが放出された!
それをすかさず、割り箸に見立てた棒に絡め取る!
みるみるうちに……ふわふわの丸い綿が棒の先に出来上がった!
そしてこれを最初に、見た目は四歳児中身は三十五歳のハナシルリちゃんに渡してあげた。
ハナシルリちゃんは、もちろん『わたあめ』を知っているから、なんの抵抗もなく食べられるはずだ。
ハナシルリちゃんは、大きな口を開けて、ふわふわの『わたあめ』にガブリと齧り付いた。
「わぁ! おいしい! ふわふわで、甘くて、最高!」
めっちゃ可愛く満面の笑みで言った。
そして大人たちは……そんな可愛い姿を見て、みんなデレデレになっている。
子供たちは、よだれが垂れそうになっている。
俺は、子供たちから優先して『わたあめ』を渡してあげた。
大人たちには、並んで待ってもらっているのだが……相変わらず一番先頭に立っているのがビャクライン公爵と国王陛下という残念オヤジコンビだった……。
まぁいいけどさ……。
なんか最近……『溺愛オヤジ』から……『残念オヤジ』にクラスチェンジしてる気がするんだけど……まぁどっちも同じようなもんだけどね。
それにしても……並ぶのはいいとしても、よだれを垂らすのはやめてほしい!
公爵と国王の威厳が……0%なんですけど……。
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