451.温泉に、入ろう!
夕方になって、細かな準備もある程度整い温泉旅館の開業準備がほぼ終わった。
布団のセットや浴衣なども準備完了したのだ。
俺は仲間たちと、早速温泉に入ることにした。
後日改めてプレオープンを行い、アンナ辺境伯たちを招待しようと思っている。
転移の魔法道具も解禁されているので、転移で移動できるから長い時間でなければ城を留守にしても大丈夫なはずだ。
この温泉旅館『ピア温泉郷 妖精旅館』は、『フェアリー商会』とは切り離した、妖精族が運営する謎の温泉旅館という触れ込みにする予定だ。
だが、アンナ辺境伯たちには俺たちが運営していることを打ち明けても大丈夫だろう。
そもそも、妖精族が運営するという時点で、俺たちがやっていると想像するだろうからね。
早速温泉に入ることにしたのだが、男湯と女湯に分かれて入ろうと思っていたら、なぜか全員男湯のほうについてきてしまった。
みんなで一緒に入りたいと言って聞かないのだ。
まぁ湯着を作ってあるので、全裸というわけではないし、仲間内だから止むを得ず了承した。
一緒に入るのは、俺のパーティーメンバーである『ロイヤルピクシー』のニア、『エンペラースライム』のリン、『ミミックデラックス』のシチミ、『スピリット・オウル』のフウ、『竜馬』のオリョウ、リリイ、チャッピー、『ワンダートレント』のレントン、『スピリット・ブラック・タイガー』のトーラ、『スピリット・タートル』のタトル、『アメイジングシルキー』のサーヤ、『家精霊』こと『付喪神 スピリット・ハウス』のナーナ、『スピリット・ブロンド・ホース』のフォウ、兎亜人のミルキーだ。
ちなみに『家精霊』のナーナは、家馬車の近くでしか顕現できないが、家馬車を建物に可能な限り近づけて顕現し、無事に温泉に入れたのだ。
このメンバーに加えて、ミルキーの妹弟のアッキー、ユッキー、ワッキーと、この温泉旅館の大女将の『アラクネーロード』のケニーに、若女将の『ドライアド』のフラニーに、そして中居であり温泉アイドルユニット『
それから、俺の弟分『魚使い』のジョージとその仲間の『スピリット・グラウンドオクトパス』のオクティ、虫馬『サソリバギー』のスコピンもだ。
一緒に地下街に来ていて、温泉旅館の準備もいろいろ手伝ってもらったのだ。
湯船は全部で十個作ってある。
お湯の種類は、普通の温泉がヌルめと熱めの二種類、ゆず湯の代わりのレモン湯、ミカン湯、牛乳湯、ワイン湯、エール湯、ヨモギ湯、ミント湯、ラベンダー湯にした。
泡風呂はまだ魔法道具が完成していないので、稼働できていない。
実は外にも出れるようになっていて、露天風呂も作ってある。
通常の温泉と、水風呂が作ってあるのだ。
人型メンバーは、みんな湯着を着て温泉に入った。
通常なら『温泉イチャラブ回』として、ドキドキの展開が待っているのかもしれないが……動物型の仲間たちも入って、みんなでワイワイしてるのでドキドキな展開にはなっていない。
ただ……サーヤ、ミルキー、ケニー、フラニーといった大人メンバーは、とてもじゃないが直視することはできない。
湯着を着ているとはいえスケスケだし……逆に妙に色っぽかったりするのだ……。
とても顔を向けることはできない。
混浴なんてものは想定していなかったので、白っぽい生地で袖なしの浴衣っぽい作りにしてしまったが、こんなことならオレンジとか青とか色の濃い生地にすればよかった……。
そしてこういうときは、ナビーはスルーして、焦る俺を楽しんでいるようなんだよね……。
いっそのことナビーを顕現させてしまおうかとも思ったが……直視できないメンバーが増えても困るし……何よりも俺自身であるはずのナビーにドキドキするのは、我ながら情けないのでやめておいた……トホホ。
ジョージは、俺よりはるかに純情なようで、入って早々大人メンバーの色っぽい姿を見て、両方の鼻の穴から血を噴射するように出してしまい、倒れてしまった。
今はオクティとスコピンが外に連れ出して、介抱しているのだ。
やっぱりあいつは面白い奴だ……そして何故か、少し不憫だ……。
美少女妖精のニアさんも、体のサイズに合わせた、そして羽の部分が通せる特注の湯着をケニーに作ってもらってご機嫌だ。
だが、静かに湯に浸かっていればいいものを、はしゃいじゃって飛び回っているので、お尻とかが丸出しになっている……残念。
リリイとチャッピーとワッキーは、はしゃぎまくり、湯船の中で泳ぎだしている。
この子たちも、ほぼ湯着がないのと同じ状態になっているが……まぁいいだろう。
みんなそれぞれにいろんな種類の温泉を楽しんでいるのだが……
何故か俺が違う湯船に移動すると、サーヤ、ミルキー、ケニー、フラニーがついてくる。
まるでロックオンされているようだ…… 俺は一体どうすればいいんだろう……。
なんか……サーヤは、「旦那様」と呟きながら、うっとり見つめてくるし……
ミルキーは、真っ赤になりながらウサ耳をバタバタさせているし……
ケニーは、白い肌を赤く上気させながら、人差し指を超高速でツンツンさせているし……
フラニーは、なぜか舌なめずりして俺に妖しい視線を送っている……フラニーってそんなキャラだった……?
全然違うと思うんだけど……まるで酔っているかのようだ……。
もしかして……ワイン湯で酔ってしまったのだろうか……酔わないはずなんだけど……。
フラニーはいつも真面目で、めちゃめちゃしっかりしてるけど……酔っ払ったら人が変わっちゃうのかもしれない……。
一度、飲ませてみたい気持ちになってきた……。
「お外のお風呂に入ってくるのだ!」
「チャッピーも行くなの〜」
リリイとチャッピーは、露天風呂の方に行ってしまった。
「ひゃあ!」
「ひい!」
突然二人の悲鳴が聞こえた!
何かと思って行ってみると、二人は水風呂に飛び込んでしまったようだ。
まさか冷たいとは思わず、びっくりしたようだ。
だが結構のぼせていたので、気持ち良いと言ってそのまま入っている。
俺もそのまま露天風呂に入った。
もうすっかり暗くなってきた空には、星が煌めいている。すごく綺麗だ!
そして微妙に吹いてる風がすごく気持ちいい。
やっぱり露天風呂っていいよね。
しばらくして、俺たちはすっかりのぼせ気味になって、慌てて温泉から出た。
そして俺が用意していたキンキンに冷えた牛乳を飲ませてあげた。
本当はコーヒー牛乳やフルーツ牛乳が欲しいところだが、それは今後の課題だ。
大人メンバーには、ワインを炭酸で割った『なんちゃってスパークリングワイン』を渡した。
俺はもちろん、キンキンに冷えたエールビールを飲んだ。
その後みんなで食事をとり、大広間に布団をひいてみんなで寝ることにしたのだが……。
大人女子たちは、結構お酒を飲んでしまったのだ。
ニアはいつものように、酔ってフラフラ飛び回って俺の上に落ちてきて、そのまま眠ってしまった。
サーヤはお酒を飲んでも普通なのだが……何故か俺の横に密着している。
ミルキーは、お酒に弱く真っ赤になって寝ちゃってる。
ケニーは、寝ている俺の太ももに顎を乗せて、色っぽい表情で人差し指をツンツンさせている。
フラニーは、サーヤとは逆側にポジションをとって、俺に体を密着させてくる。
完全に胸を俺の腕に当ててきている……もう襲われている気分だ……。
絶対フラニーはこんなキャラじゃないと思うんだけど……やっぱりこの人、酒を飲むとヤバイみたいだ……。
いつもならリリイとチャッピーが、俺にまとわりついて寝てくれるのだが、今日は疲れていたらしく、先に他の仲間たちと一緒に寝ちゃったんだよね。
そしてジョージは、意識を取り戻して一緒に夕ご飯を食べていたのだが……
途中から大人女子たちが酔っ払って、浴衣が少しはだけたりするのを見て、またもや鼻血を出し意識不明になっている……。
全然助けとしてあてにできない……。
俺は、この悶々とした状態のまま、朝を迎えなければならないのだろうか……トホホ。
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