第27話 それが王なのか?
行軍はどんどん進み、赤目のイタチと野犬達のいる場所に到達した。
軍団の金チュウチュウに気付いた、赤目のイタチと野犬達は金チュウチュウの乗る
ビッグホーンの前に集まり土下座した。
赤目のイタチは大きな声で謝罪を始めた。
「申し訳ありません。金チュウチュウ様。
我らの力不足でリスを逃してしまいました。」
「力不足?たったリス二匹を捕まえるのに力不足。。。。
ワシには十分すぎる戦力だと思ったのだがなぁ、ワシの考え方がいかんかったのかのぅ?」
「めっそうもございません。敗因は想定外の巨大な馬が現れた事であります。」
「それでは、馬に勝てる戦力を渡していなかった、ワシが悪いのかのう?」
「めっそうもございません。私が攻めるタイミングを誤ったのです。私の判断ミスでした。決して戦力不足ではありません。」
「実際は何があったのだ?説明するのだ。」
赤目のイタチは作戦と、実際の攻撃を丁寧に説明した。
金チュウチュウは大あくびをしながら聞いている。
そして、急に怒り出した。
「いつまで言い訳を続けておる!見苦しいぞ!」
赤目のイタチは雷に撃たれたように凍りついた。
説明しろと言ったのは金チュウチュウだ!その通りにしたら、言い訳と言われる。
そんな酷い話はない。
その表情を見下ろして金チュウチュウは言った。
「なんだ、その目は。ワシに恨みがあるのか?お前はリスだけでなくイノシシも倒して、自分の活躍と自慢したかったのではないか?
作戦通りに、イノシシにお前の屁で、二人で意識を失い、残りの野犬全員でリスを倒しに行けば目的は達成できたのではないか?
全ての責任はお前にあるのではないか?
この、不始末、どのようにして償う?」
「ぐ・・・・・」赤目のイタチは何も答えることができない。
金チュウチュウはさらに続けた。
「どうやって責任を取るのだ?そういえば、この軍団の後ろにお前の妻と子供がいるそうだな。お前が責任を取らないなら、誰に責任を取ってもらおうかな?」
赤目のイタチは蒼ざめた。
「お待ちください!妻や子供にはなんの罪もございません!私の命を差し上げますので、どうか妻と子供は見逃してください!なにとぞお願いします。」
金チュウチュウはニンマリ笑った。
そして、軍団のより多くに聞こえるように言った。
「ワシは、お前を憎んでいるわけではないのだよ。私が憎いのは失敗だけだ。
そこは、勘違いしなくていいのだ。
ワシはいつも動物達の幸せを祈っていると言っておるだろう。」
金チュウチュウは大きく息を吸った。
「人間と戦い、研究所を破壊して、お前たちに逃げるチャンスを与えてくれたのは誰だ?」
赤目のイタチは答える。
「金チュウチュウ様です。」
「研究所が火事の時に、人間は檻を開けてくれたか?誰が焼け死にそうになっているお前たちを助ける為に檻を開けてくれた。お前たちの命を一番大切に考えているのは誰だ。」
「金チュウチュウ様です。」
「研究所から焼け出されて消防士から逃れて、安全な場所に導いたのは誰だ。」
「金チュウチュウ様です。」
金チュウチュウはご機嫌になった。
そこへ、一頭のコウモリが飛んできて、金チュウチュウに報告した。
「何?リスがこの先の人間の家に潜んでいるじゃと?」
金チュウチュウは軍団に号令をかけた。
「者共!明日はリス狩りをする!今日はここを宿営地とする。各員明日の戦いに向けてしっかり休むように!」
夜はふけていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます