第25話 決着
ドン!馬は後ろ足で強く地面を蹴った。
周囲に振動が響き渡る。
そして、木の柵に近づき後ろ足で柵を蹴った!
バリン!木の柵は木っ端微塵に砕け散った。
そして、またゆっくり野犬達に近づいて行った。
野犬達がどんどん後ずさりしていく。
馬がもう一度後ろ足を踏み鳴らすと、野犬達はメイチを残して一斉に逃げて行った。
カイトは馬の前に飛んで行った。
「助けてくれてありがとう。僕はカイト、あっちにいるのがメラ、そこでのびてるのがメイチ。本当に助かったよ。」
「僕はバド、なんかやかましかったからきて見たら、小さなリスやモモンガをあんなに多く野犬が襲うなんてただ事ではないと思って助けたんだ。」
バドは気を失っているメイチを鼻で確認した。
「大丈夫、怪我はしてない。」と言って、口でくわえて、ポーンと背中に乗せた。
「助けてもらった上に申し訳ないんだけど、向こうにも仲間がいるんだ。」
「ああ、向こうには野犬とイノシシが倒れていたよ。」
ドトウの事だ!風が吹いてきたので、カイトは木の柵に登り風に乗ってドトウの方に飛んで行った。
芝生の上にドトウが倒れている!
ドトウの周りには野犬達と一匹のイタチも倒れていた。
カイトはドトウに駆け寄った。
呼吸を調べると息はしている。
身体にも傷は見当たらない。
「ドトウ!ドトウ!」カイトが全身の力を使ってドトウを揺らしながら声をかけた。
「うぅぅぅぅぅ」ドトウがうめき声をあげた。
「おう、カイトか・・・・ここは天国か?」
「天国じゃないよ!みんな無事だよ。何があったの?」
うぅぅぅ周りの野犬やイタチも意識が戻って立ち上がった。
みんなヨロヨロになっている。
バドがメラとメイチを背中に乗せてやってきた。
しかし、みんな、立ち上がるのが精一杯で、戦意など全く残っていなかった。
「恐ろしい攻撃だった。。。。。」
ドトウがボソボソ喋り始めた。
「戦い始めた最初の一撃がイタチの最後っ屁だったんだ・・・・」
「猛烈に臭くて・・・・俺は意識を失った。」
「でも、どうやら野犬も最後っ屁をしたイタチでさえも意識を失っていたようだ。。。。。」
「なんて恐ろしい技だったんだ・・・今思い出しても吐きそうだ。。。。。」
そう言いながら、ドトウはバドの方に向かってヨロヨロ歩いて行った。
意識を取り戻した野犬や赤い目のイタチは、逆方向に向かってヨロヨロ歩いて行った。
戦いは終わったようだ。
草原には風が流れていた。
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