第20話 新たな敵

あれから2日が過ぎ台形山がかなり近づいてきた。


空は青く晴れ渡り、心地よい風が吹いている。

森を超えてくる風は、清々しく、自然の息吹に満ち溢れている。


メイチの喘息も治り。ご機嫌である。


自然の森の循環の力はメイチを見ていると一番よくわかる。

やはり、空気がいいのが一番。


北の森を目指してよかった。メラは今の自分を肯定する事で、これから向かう未知なる土地に対する不安を打ち消した。


「姉ちゃんご機嫌だね。なんかいい事があったの。」

「最近、あんたのやかましい喘息が無くなったから、しっかり眠れてるのよ。」

「そういや、最近調子いいや。黒の周りは暑いし、へんな臭いがするし、爽やかさがなかったよね。」


急にドトウが振り向いて喋り始めた。

「最近、起きた時のすっきり感が全然違うんだ。なんていうか力がみなぎるって感じなんだ。黒の側だと、草や木の匂いがない風が吹いてくるし、いつも小さな音が聞こえ続けてた。

大した事はないと思ってたんだが、ずっとその中で暮らすと、ストレスが溜まっていくんだろうな。」

「へぇー、ドトウにもストレスがあるんだね。」


メイチの相変わらずの一言にドトウはムッとした顔をして、前を向いて歩き続けた。


カイトはムードを切り替えるために、別の話題を切り出した。

「今日には樹海が見えてくる。樹海の入り口には1軒だけ人間の家があるんだ。

家のまわりは、道だったり、畑だったり、芝生の広場だったり。その辺りまで行って、フクロウのケイリンを探そう。」


一行は森を抜け、河に行く手を阻まれ、渡れる場所を探し、河を渡っては、丘に登り、どんどん進んで行った。

そんな一行を遠くから観察する目が赤く光っていた。

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