第13話 飛翔
「ドトウ、飛べる?」
橋は既に少し上がっている。
どんどんどんどん上がり続けて、道は急坂になってきている。
このままでは、壁になる。
パトカーもハイビームで凄い勢いでやってくる。
ドトウは覚悟を決めて奥歯を噛み締めた。
一気にゲートをくぐり跳ね上げ橋を駆け上がってドトウは跳んだ。
放物線を描きながら、ドトウは宙を舞った。
思った以上に距離がある。
足元には川しか見えない。
近づいて来る船、パトカーのランプ、背後から照らされるサーチライト。
全てがスローモーションに見えた。
ドトウの身体は反対側の橋に吸い込まれた。
そのまま三匹は跳ね上げ橋の斜面を滑り落ちて平らな部分まで滑って行った。
「アイタタタタ・・・みんな無事か?」ドトウの声にメラもメイチもへんじをした。
超えて来た先のゲートには1台の車がいるだけだ、跳ね上げ橋の上からイノシシが滑り落ちてきたのだ、運転手がびっくりしてただ眺めている。
その前を悠然と三匹は通過して行った。
「凄いねドトウ、まるで翼が生えたみたい」メイチが興奮していた。
「あたりまえよ、飛べないイノシシはただのイノシシ・・・語呂が悪いな。」
「これで、あの船が通過するまで、奴らはやってこれない。今のうちに逃げよう。」
やがてドトウは速足になり、三匹の笑い声と共に、茂みの中に消えて行った。
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