結論

 全てを聞き終えたマカは、複雑な顔をした。

「…何だかお前の商品と似てないか?」

「とんでもない! 私の商品は自己責任・自己負担が主流です。売り手と買い手の取り引きだけで、第三者が関わることは決してありえません。特に今回は第三者は死人ですよ? 私の扱える範疇を越えています」

 店主が慌てて否定するも、マカは疑わしそうに見た。

「まっ、お前のとこの商品はともかくだな」

「ひどっ…」

「問題は誰が、だ。そんなもの、どこで必要とする?」

「そうですねぇ。一般的に言えば、呪術の範囲ですから、そちら関係かと」

「呪術か…。しかしその人形、使う方のリスクも高いが、同時に扱う者も高いリスクがつきそうだな」

 店主は店内を見回し、頷いた。

「確かに。こういう特別なモノは取り扱う方にも注意が必要になりますからね」

「そんなリスクを背負ってまで、やりたいこととは何か…」

「ねっ、厄介どころではないでしょう?」

「まあな。だがほおっておくワケにもいかん。一般の人間の目にまで触れる始末、扱っている者の気がしれんな」

「そう…ですね。しかしこんな騒ぎを起こしてまで成したいことはなんでしょうね?」

「お前のように商品売買目的か…。あるいは本当に呪術者としての能力を上げる為か。…そう言えば、依頼してきた者の名は聞けなかったのか?」

「へっ?」

 店主が明らかに動揺した。

 そんな店主を、マカは胡散臭げに見つめた。

「…知っている者か?」

「ええっとですね…」

 言い辛そうに向こうを向いた店主の顔を掴み、間近で睨み付ける。

「誰だ?」

「ううっ…」

 店主は青い顔で、呟いた。

「…マサキさん、です」


 ……………。


「はああああっ?!」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る