(2)「他言無用」(宮本先生)

 放課後、私はSHRが終わると南校舎2階の職員会議室へ向かった。ドアをノックすると「どうぞ」という宮丈みやじょうこと宮本先生の声が聞こえたので引き戸を開けて入った。長机が「口」型に並んでいる。宮本先生は奥のホワイトボードの前にいた。


「失礼します」


 宮本先生は前の方の長机の角席あたりを指さして言った。


「古城か。呼び立てて済まない。適当に座ってくれ」


 そういうと宮本先生はホワイトボード前の方の席に座られた。


「生徒指導室ではないから風紀関係とかそういう話しではないですね」

「そういう用件だったら向こうに来てもらっていたかもな」


 宮本先生は苦笑いされた。昨年度中に行った制服関係の規則の変更で生徒の服装規範はむしろしっかりするようになったようでめっきりあの部屋を使う機会は減っているらしい。それは生徒自治会としては良き事だと思うし、その点は宮本先生も変わりなかった。


 宮本先生の口調はここで重苦しいものに変化した。


「これから言う事、見せる事については他言無用で願いたい」


 そういうと先生はプリントアウトを1枚差し出した。

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