23話
リリアン「アレンくーん!お昼食べましょう!」
第五保健室の扉を開けると、保健室の方にアレン君の姿はなかった。
こっちに居ないんだったらきっと調合室かな?
そう思って調合室を除くと、案の定ポーションを調合するアレン君がいた。
リリアン「アレン君、お昼ですよ?食べましょう?」
アレン「あ、リアン。来てたんだ。いらっしゃい…昼か…僕持ってきてないんだけど。」
やっぱりだ。ここ何年か、アレン君と一緒にいてわかったことは、調合に夢中になるとお昼も睡眠も全部無視すること。
食欲と睡魔がピークを迎えると、やっととるんだけど………空腹のまま死んだように眠るのは心臓に悪いからやめてほしい。
どうせ今日だってご飯を持ってきてないのは予想ができてたから、私の分と一緒に作ってきたのだー!
リリアン「安心してくださいませ!
アレン君の分も作ってきましたの!一緒に食べましょう?」
アレン「リアンが作ったの?……食べる、ありがとう」
リリアン「はい!どういたしまして!」
アレン「でも、怪我とかしなかったの?」
アレンくんは心配そうに、私の手元を見る。しかしながら私は前世でちょくちょく、料理をしていた身だ。今更包丁などで怪我はしない。
リリアン「大丈夫ですわ!これでも、料理は得意なんですの!」
アレン「そっか、じゃあ食べよう?」
保健室にあるソファに2人で並んで座ってお弁当を広げる。
味見はしたけど大丈夫かな?アレンくんのお口に合うのかな?
そう思ってじーっとアレンくんを見てしまう。
アレン「ん、美味しい。
リアン本当に上手だね」
リリアン「えへへ…それほどでもないですわ…」
アレンくんは真っ向から褒めてくるから時に嬉しいけど、ときに恥ずかしく感じることもある。
とにかく口にあったようで良かった。
安心して自分の分のお弁当を開けて、食べ始める。しかし、半分ぐらいのところでお腹いっぱいになって箸が止まってしまった。
うーん。アレンくんとおなじお弁当にしたけど、ちょっと多かったな。
次回からは一回り小さいお弁当でいいかも。
アレン「あれ?リアンもう食べないの?」
リリアン「え、あぁはい。自分で作っときながら、少し多くて…
今日は残してしまおうかと…」
アレン「えぇ、勿体ない…じゃあ、僕が残りを食べていい?」
リリアン「もちろんですわ」
お弁当をアレンくんの方へずらそうとすると、隣に座るアレンくんがこっちを向けて、あ、と口を開けた。
リアン「あ、アレンくん?」
アレン「リアンが食べさせてー?」
それってあーんってこと?
私が箸を持ったまま固まっていると
ん?と口を開けたまま首を傾げる。
そのあざとさに負けて私は箸で卵焼きを掴み、口の中へと入れてあげた。
アレン「ん、美味しい。ねぇリアンもっと。」
アレンくんはもっともっととねだってくるから、その度に色々のおかずやご飯を口に入れてあげる。
すると……
「あのぉ、すいませぇん。
せんせーいますかぁ?」
甘ったるい、猫撫で声が保健室の扉が開くと同時に聞こえてきた。
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