第18話 コワいよ

「三越でリュックを見つけたの~」

「へぇ~」

(嫌な予感するわ…)

「ねぇ買って~」

(ほらきた…)

「嫌だよ、何で僕がキミに買わなくちゃならないのさ」

「だって…他に買ってくれそうな人いないんだもん」

「僕はただの客、キミのパパじゃないんだよ」

「パパー」

「呼ぶな」


「ねぇとりあえず見てよ~、絶対かわいいねって言うからさ」

「言わねェよ」

「コレ」

(ヴィトンさんじゃねぇか…)

「店員さんが、絶対似合いますからって、持っちゃったの~、そしたら欲しくなって~半分でいいから出して~」

「半分でも12万じゃねぇか」

「アタシとさ~デートするじゃん、アタシそのリュック持ってくるじゃん、桜雪ちゃんのためじゃ~ん」

「全然、僕のためじゃねぇっての、大体さ、24万だろ? キミ24回誰かに呼ばれれば買えるじゃない」

「それじゃダメなの~アタシ身体弱いじゃん」


 身体以上に頭が弱いんだよ…キミは


「まごうことなき…って読むのコレ」

「ひらがなじゃないか」

「いいのか…まごうことなき美しさ…だってどういう意味?」

 ……

「キミを呼ぶことが博打感覚になってきたよ」

「ばくちってなに?」

「賭け事」

「あ~、アタシさ、バイナリーならやったことあるよ」

「負けただろ」

「うん、あのね、先生って人から電話あってさ、言うこと聞いたのに」

「あのさ、丁半博打に先生とかいないから…そもそも勝ってりゃ人から金巻き上げないだろ、ソイツ負けてんだよ…だから金がいるんだよ」

「そっか、そうだね」

「金取られたろ、授業料」

「払った3万」


 この嬢が金が無い理由が解るよ…

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