第10話 パパじゃねぇ

 仲よくなって食事にでもと…なったわけだが、シングルマザーであることは知っていたし、子供も連れて鮎を食べに行った。

「まぁ目元がパパにそっくり」

 個室に通されて仲居さんが社交辞令的に話し出す。

「でしょ~」

(でしょ~じゃねぇよ)


 まぁこの子供(2歳か3歳)が好奇心の塊で、扇風機に指を突っ込むは、ポットを押したがるわ…

 目が離せない。

「パパちょっと」

(パパじゃねぇっての)


 しまいには抱っこで歩かされた。

 子供も、僕に抱っこされると違和感を抱くのだろう…徐々に落ち着きがなくなるのだ。

 しまいには大泣きしたくらいになって

「ほら、パパちゃんと抱っこしなきゃ」


 家族ごっこは疲れた。

 僕は家庭に不向きだと改めて知った。

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