四百五十二話 あっさり出会ってあっさり終わる
(……いきなり脳天を狙うよりは翼を狙った方が良いか)
空中から襲ってくる数体のルージュバードに対してソウスケは両腕に水の刃を用意する。
「ッ、ちょっとは考えてるみたいだな」
空中から下降して襲ってくる数体の後ろに空中で待機している他の個体がフェザーダンスを使用し、羽による追加攻撃を行う。
(攻撃のスピード的には良い感じに間があるな)
ルージュバードの連撃に良い感じだなと思いながら、表情は変えずに手に持つ刃だけではなく、宙にも水の刃を生み出し、最速で翼の根元に向かって放つ。
確かにルージュバードの爪やくちばしによる直接攻撃の後に突き刺さる羽の雨は厄介な連撃かもしれない。
しかし、その攻撃が先にソウスケ達に届くかは話が別だった。
放たれた水の刃はルージュバードが緊急回避出来ない程の速さで迫り、あっさりと翼の根元も断ち斬った。
そして翼を失ったルージュバード達は地面に落ち、今度は脳天を斬り裂かれて絶命。
(存外反応出来ないんだな)
意外と自分の攻撃に反応出来なかった結果にソウスケはニヤッと笑う。
それと、追加攻撃として降り注ぐ羽の矢はサラッとウォーターシールドを展開してあっさりとガードした。
「ふんッ」
ザハークは二体のルージュバードが自身の体に近づいた瞬間に攻撃を紙一重で躱し、そのまま首元をキャッチ。
そしてそのまま勢い良く首をへし折ってしまった。
「ッ!!!! ……」
一瞬の出来事にルージュバードは声を上げる事すら出来ずに息絶えてしまう。
最後にはソウスケと同じくウォーターシールドで羽の矢を無傷で防ぎ、完勝。
(……よし、中々上手くいったな。しぶといモンスターではなさそうだし、首の骨を折ってしまえば問題無いだろう)
ソウスケの注意に自信満々で返答したザハークだったが、内心では少々やらかしてしまわないが心配の気持ちがあった。
しかし見事に頭では無く首のキャッチに成功、そして破壊。
「・・・・・こんなものですね」
直接脳天を攻撃するのを躊躇ったソウスケとは違い、ミレアナはそのまま弓を使って脳天を貫いた。
放たれた矢はソウスケが投げた水の刃ほどは速くなかった。
だからルージュバードはギリギリ反応出来、躱そうと動いた。
しかし寸でのところでミレアナが矢の軌道を変え、そもままグサリと突き刺さった。
もちろん脳を貫かれたルージュバードは動くことが出来ずに失速。そして地面に激突。
迫る羽の矢も二人と同じくウォーターシールドで完全ガードに成功。
十体近くいたルージュバードは一気に三体ほどまで数を減らした。
「「「・・・・・・」」」
まったく予想していなかった結果にルージュバードは固まってしまう。
呆気なく仲間が死んでしまった。それを理解するのに数秒ほど掛かった。
しかしその時には水の刃、槍、矢が三体の顔面に迫っており……回避は不可能。
三つの攻撃はそのまま頭部を切断、貫通して脳が終わったルージュバード達は力なく地面に落ち……回復できる訳無く、そのまま絶命した。
「……あっさり見つかってあっさりと終わったな」
「そうですね。どれも羽は無事ですし、依頼達成ですね」
「だな。十体分の羽があれば十分だろ。というか、ザハークの倒しかた一番良いやり方だったな。攻撃をサッて避けて首をボキって折ってさ。あれな血も出ないし、何かが欠けることも無いし」
「そうか? そう言ってくれると考えて倒した甲斐があるな」
ソウスケが倒したルージュバードの死体も問題は無いが、羽の所々に血が付いている。
(……まっ、洗えば落ちるよな)
直ぐに洗えば問題無く、ソウスケは念の為と思って直ぐに水で洗い落してアイテムボックスの中へとしまった。
「さて、予定より早く終わった事だし、もうちょい……楽しめそうだな」
「そうだな。楽しめる敵であってほしいな」
「……おそらくルージュバードの血の匂いに釣られたのでしょうね」
(血の匂い……マジか、それって俺が主な原因じゃね?)
ルージュバードとの戦闘でソウスケが一番派手に血を流す攻撃を食わらせたため、そうでは無いと言い難い。
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