四百二十五話 それじゃ三流だな
「それと、俺の従魔のザハークは接近戦が得意です。武器は大剣が使えます。それと、一応水魔法が使えます」
「ほぅ~~~、オーガが魔法を……メイジでは、無いんだよな」
「はい。ただ、ザハークは希少種なんで、他のオーガとはちょっと違うんですよ」
見た目から普通のオーガと違うという事は解かりきっているので、ザハークが希少種であるという事は隠さず説明する。
「そうだったか……どっちも期待して良いってことか?」
「水魔法の方はそこまであれですけど、接近戦に方は期待して貰っても大丈夫ですよ。何かイレギュラーがあってもザハークなら対応出来るかと」
「はっはっは、確かにそうだな。Cランクのオーガの希少種だ。そこら辺のオーガとはまた話が違うだろう」
自身の仲間がある程度の力を持っている。
それを説明する事で多少の自由と信用を得られると思ったソウスケは全てを伝えないが、最低限の内容はレアレス達に伝えた。
「チッ、自分の力じゃねぇーーくせに調子に乗りやがって」
別に大きくは無い。寧ろ小声であった。
それでも部屋にいる者全てに聞こえる声が響いた。
(……まぁ、そう考えてる奴がいてもおかしく無いよな。というか、他にもウンウンって頷いてる奴いるし、殆どのEランクの奴らがそう思ってるって事か)
ソウスケはその様子に特に驚くことは無かった。
確かにザハークがそこそこ強いですよと伝えるために声は明るめだったかもしれないが、調子に乗ったつもりは一切ない。
ソウスケがチラッとミレアナの方を見ると、表情に変化は無く殺気や怒気も漏れていない。
ただし……目が虫けらを見る様な程に冷徹な物になっている。
(意外と落ち着いてるな。俺としては落ち着いてくれている様で嬉しい限りだ)
もう片方の方をチラッと見ると、グランは右拳を強く握りしめていた。
ソウスケが実力相応以上の実力を持っているのだと叫びたい。
お前達より、自分よりも圧倒的な強さを持っていると伝えたかったが、任務前に仮とはいえ仲間同士で争うのは良くないブレーキを掛けて踏み留まっている。
そんなグランを安心させようと、ソウスケはグランの膝を優しく二回叩いた。
俺は特に怒っていないから気にするな。そんなソウスケの思いは無事届き、グランの体から力がスッと抜ける。
「だったらお前も強いモンスターを従魔に、仲間にすれば良いだろ」
特に怒ってはいない。ただ、なんとなく言い返す言葉が出てしまった。
だがこれに関してしまったと思うことは無い。
「自分達には無いからって、持ってる俺を僻むなよ妬むなよ」
「その態度が調子に乗ってるって言ってんだよ。そっちのエルフの冒険者と従魔のオーガにおんぶ抱っこのカスが」
「人の実力を見た目で判断するなんて三流もいいところだな。レアレスさんもそう思いますよね」
ソウスケからのいきなりのパスに動揺すること無くレアレスは自分の答えを返す。
「そうだな。実際にその者の戦いぶりを体感せずに決めつけるのは三流のすることだ」
「らしいぞ。三流のEランク冒険者」
「ッ! てめぇーーーッ!!!! ぶっ潰してやるよ、どっちが上かはっきりさせてやる!!!!」
安い安い挑発に冒険者はあっさりと連れてしまい、一触即発の状態となる。
それを見ていたレアレスは大きくため息を吐き、ダイアは面白そうな物を見る表情に変わる。
「はぁーーーーー。ソウスケと呼ばせてもらうぞ。あんまり人を挑発するな。今回の依頼で俺達は仮とはいえ仲間になるんだ。もう少し返す言葉を選んでくれ」
「……分かりました、以後気を付けます」
「それとアーガス、自分の方が上だと思っているならわざわざ自分から噛みつく様な真似をするな」
「わ、分かりました……ッ」
(こっちを睨んだところでお前が注意されたって事実は変わらないっての)
こちらを睨んでくるアーガスに対してソウスケをそれを軽く流し、最後までレアレス達の話に耳を傾けた。
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