三百四十三話 十二分に使いこなしている

ソウスケがスパイロードを装備し、巧みに操っている女の冒険者心が当たりがあったが、果たしてそれが事実なのか悩んでいる間に決着が着く。


三体のフォレストオーガは三体とも首が切断れており、切断面から血をダラダラと流しながら地面に転がっている。


そして一対多数の戦いが終わり、女はまず解体を行う前にソウスケ達の方を振り返った。


「そこに三人いるんだろ。出てきな」


完全に正確な人数までバレているのでこれは隠しとうせないと判断し、三人は隠れていた場所から離れて女の前に立つ。


「あの、もしかしてマムさんですか?」


「ほほぉーーー、良く分かったじゃないか」


シュラとミレアナも自分達以外にスパイロードを持っている人物に心当たりはあったが、目の前の所有者を見て驚かざるをえなかった。


「も、もしかしてですけど、年齢を若返らせるスキルとか習得していたりしますか?」


「その通りさ。文字通り若返りってスキルを習得してるんだよ。容姿は勿論、身体能力も全盛期まで戻る。あと、これは今私が若返ってるのとは関係無いけど、このダンジョンで手に入れた果実を食べて年齢は人族のおよそ倍にはなってるのさ。だからぶっちゃけ元の見た目は婆さんだけど、年齢的にはまだ半分にも達していないんだよ」


「えっ!? なんですかその果実は。絶対に希少価値の高い物ですよね」


食した者の寿命を延ばす。

ソウスケの個人的な考えでは、貴族や王族なら喉から手が出る程欲しい果実。

個人の財産の大半を使ってでも手に入れた希少果実。


ぶっちゃけそれ一つで小さな内乱が起こっても可笑しくないのではと思えた。


(というか、このダンジョンでそんな果実が手に入るんだな。可能性としては何千億の一、もしくは数兆分の一ってところだろうけど)


そんな圧倒的なまでに低い確率を引き当てたマムは超強運の持ち主と言える。


「当時手に入れた時は売るか自分で食べるか随分と迷ったんだけどね。それを売って手に入る金額を考えたら絶対に死ぬまでに使い切れないと思った」


「それは・・・・・・確かにそうかもしれませんね」


いったいどれほどの値段が付くの本当にソウスケには想像が付かないが、金額を聞けば失神しそうなほどの値段が付くのだけは予想出来た。


「というか、一人で潜ってるみたいですけど大丈夫なんですか?」


「三人で潜ってるあんた達には言われたくないよ」


「いや、確かに俺達も人数は少ないですけど、それでも三人いれば色々とカバーできるんで大怪我する事は無いじゃないですか。でも一人だと奇襲を受けた時とか危なくないですか? あと野営の時も」


「このダンジョンは何十年単位で潜ってるからどういった奇襲が来るかくらい把握してるんだよ。野営に関しては今まで集めて来た頼りになるマジックアイテムがあるか問題無いのさ」


マムが持つマジックアイテムは現在潜っているダンジョンで手に入れた物や、他の街から入って来たマジックアイテムなどで、その性能は高い。

だがダンジョン内でそれらマジックアイテムに自身の安全を任せてテントの中で寝てしまう者はまずいない。


偶にある境地に達し、木にもたれかかって寝る事が出来、モンスターが襲って来たとしても条件反射の様に起きて対応出来る者がいるが、それはソウスケ並みかそれ以上の例外と言える。


「なるほど。それで、俺が造ったスパイロードはどうですか?」


「最高だね。最初は発射する方向が一点にしか動かなかったけど、慣れれば剣の邪魔にならないように発射出来る。それに多少の耐久力はあるから攻撃を受け流す事にも使える。あんた本当に汎用性のある魔道具を造ったね」


真正面から自分が造った作品を褒められたソウスケは素直に嬉しく、またその魔道具を十二分に扱ってくれている事も嬉しく感じた。


(まっ、アイデアにス〇イダー〇ンの能力を使ったから完全に俺のオリジナルって訳じゃ無いんだけどな)

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