二百七十六話おそらく解らない筈
「明日には地上へ戻る予定ですが、それ以降はどういたしますか? やはり三十階層以降へ降りるのですか?」
「・・・・・・基本そう考えている。やっぱり下層の素材や魔石は楽しみではあるからな」
ダンジョン内という事で、地上では遺跡などを覗いて現れる事が無い宝箱という存在がソウスケをもう少し下へ降りてみたいという気持ちを増幅させる原因。
ただ、最下層まで降りてボスと戦うかどうかは少し考えていた。
(ジーラスさん達の話だと最下層のボスは稀に上位種が現れる事があるって言ってたよな。単純に強くなるのか、それとも自分よりランクが低い同族をたくさん呼ぶから複数のパーティーで挑むのがベターなのか・・・・・・もう少しそこら辺も聞いとけば良かったな)
最悪水龍の蒼剣を使えば勝負は直ぐに着くだろうとソウスケは思っているが、スピードがあるタイプだとそもそも攻撃が当たらないかもしれないという不安もある。
(いや、俺自身が持つ身体強化のスキルと蛇腹剣が持つ身体強化のスキルを二重で発動すればなんとか動きを捉える事は出来る・・・・・・と信じたい)
「手に入れたモンスターの素材や魔石はやはり新たな魔道具の材料にするのですか?」
「その可能性もあるし、鍛冶スキルを使って武器を造るときに使う可能性もある」
ソウスケが最初に持っていたスキルの内、戦うだけで人生を終わらせない様に選んだスキルは木工、錬金術、鍛冶の三つのスキル。
既に木工と錬金術のスキルを冒険が終わり、宿へ戻った時に使用している。
しかし鍛冶のスキルだけは明確な道具などが必要であり、何より武器を造るうえでの土台になる鉱石をソウスケは持っていない。
「けどそれはどっかの鉱山に行って鉱石を手に入れたからだな」
「それならばここのダンジョンを制覇した後は人に管理されている鉱山へと向かいますか?」
「・・・・・・ん~~~~、別に早く鍛冶を始めたいって訳じゃないしな。でも鉱石を持っていれば後は道具と環境さえそろえば直ぐに始められるしな」
本来ならば鍛冶の手順や工程をしっかりと学び、鍛冶スキルを習得してから本当の武器が造れるのだが、錬金術や木工のスキルが既にレベル五の段階でスキルを使用したソウスケは鍛冶も同様に作業を始めれば何となく出来るのでは? と考えていた。
「それでは最終予定はやはり最下層まで探索し、ボスを倒すという事で良いのですね」
「おう、正直上位種と遭遇したい気持ち半分と当たりたくない気持ち半分だけどな」
予想外な状況に直面したとき、自分が冷静に対応できるのかどうかが一番ソウスケとしては心配だった。
だが、よくよく考えれば自分は一人で戦っている訳では無いので、そこまで心配しなくて良いかと思い、少し気が楽になる。
そして夜の護衛をザハークに任せ、ソウスケとミレアナは眠りについた。
翌日、ザハークに仮眠を取らせてからソウスケ達は二十階層に向かって駆け出す。
半ばの階層から区切りの良い階層までダッシュ。
これを何回も繰り返した事で少しづつだが三人にスタミナがついた。
そして持久力向上のスキルまで三人は手に入れる。
無意識に手に入れていたスキルに気が付いたソウスケは普通に有難いスキルだと感じた。
「う~~~ん、久しぶりの地上の光だ」
二十階層から一階層へ転移し、ソウスケ達は地上へと戻る。
この時点でソウスケ達とすれ違った冒険者達は目の前に現れた冒険者が十階層以降に行ける実力を持つ者だと分る。
だが、目の前に現れた冒険者がどの階層から転移して来たまでは分らないので、ソウスケとしては他の冒険者に自分達の正確な実力は解らないだろうと安心していた。
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