二百六十九話剣山・・・・・・じゃなく木山

「こ、れでっ、どうだあああああああ!!!!」


力任せの一本背負いを決めたソウスケは追撃とばかりフォレストコングの頭部をサッカーボールを蹴るかのように吹き飛ばす。


この一撃には流石にフォレストコングの痛覚耐性も意味を為さず、頭蓋骨がボロボロになり脳が潰れてしまった。


「後四体か・・・・・・ッシ! 上等だッ!!!!」


再度気合いを入れたソウスケはウォーターブラストで木々へと押し飛ばした三体のフォレストコングの内、一体に的を絞って突撃。


向かって来るソウスケに対しフォレストコングは罅が入った胸骨の痛みなど関係ないとばかり雄たけびを上げながら拳を振りかざして迎え撃つ。

しかしお互いに心が熱くなっているように見えるが、頭はソウスケが断然に冷静だった。


右ストレートでソウスケを吹き飛ばそうとするフォレストコング。

だがソウスケは自身も打撃技を放とうとするがそれをフェイクにし、スライディングでフォレストコングの股を潜り抜ける。


そして又を抜けた後に即座に体を反転させて左足を蹴り上げる。


「ッーーーーーーー!!!!!!!」


一瞬にしてソウスケを視界から見失ったフォレストコングは動きを止めてしまう。

それでもソウスケがどこに消えたか即座に分かり後ろを振り向こうとしたが、その一秒にも満たない瞬間に股間に蹴りをぶち込まれてしまったフォレストコング。


心臓や脳以外の急所も人と似ているフォレストコングにとって雄ならば股間も勿論急所。

声にならない声を上げながら上空へ蹴り上げられてしまう。


「もういっちょ!!!」


近くにあった木を蹴ってフォレストコングより上にマントを取り、オーバーヘッドキックの要領で今度は地面に向かって蹴り飛ばした。


「よし、これはいった、って危なッ!!??」


フォレストコングを地面に蹴り飛ばした後の隙を狙ってウッドランス放った三体。


しかしそれにギリギリで反応したソウスケは四肢に炎を纏い全て破壊する。


(いやぁーーー、普通にヤバかった。身体強化や竜鱗のスキルを使ってるから体を突き抜ける事は無いだろうけど、それでも普通に怪我してただろうな)


だがソウスケは地面に着地する前にフォレストコングの動きに違和感を持つ。

地面に蹴り落とされたフォレストコングはピクリとも動けないでいた。


しかし残り三体は両腕を振り上げ、力を貯めこんでいる。


(その距離じゃ俺に物理攻撃は届かないだろ? 何をするつもりだ・・・・・・ッ!!?? もしかしてそういう事か!)


フォレストコング達の行動に予測がついたソウスケは右腕に力を籠める。


そして三体のフォレストコングが一斉に地面と殴り続ける。

次の瞬間、無数の尖った木々が地面から生えだす。

ただの木では無く、容易に人体を貫くと解る程の鋭さ。


だがその木々は一つもソウスケに触れる事は無かった。


力任せの一撃に生えてくる木々は勿論の事、地面までも陥没してクレーターが出来上がる。


「・・・・・・邪魔だな」


手に風の魔力を纏い、手刀を放ちながら一回転。


円状に放たれた風の斬撃は木々の断面を鮮やかに斬り裂いて行き、三体のフォレストコングまで到達する。


「「「ウホッッッ!!!!」」」


視界が塞がっていたとしてもどの位置に攻撃が向かって来るのか解ったフォレストコングは拳を突き出し相殺に成功する。

それでも無傷では済まず、腕に切傷を負ってしまう。


「そろそろ終わらせるぞ」


視界が良好になった途端に目の前に現れた敵。

フォレストコングの攻撃態勢は一切整っていない。想定外の速さに何も出来ない。


身体強化×身体強化で底上げされた脚力で一気に距離を縮め、同じく底上げされた腕力に風のドリルをプラスしての一撃。


いくら痛覚耐性が高いフォレストコングであっても、体に風穴を空けられてそれを塞ぐほどの再生力は持っていない。


そして残りの二体のフォレストコングもソウスケのスピードに付いて行くことが出来ず、急所を貫かれてしまった。


「あぁーーーー・・・・・・結構長く戦ったな。二人共もう終わってるみたいだし」

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