二百二十八話謎解明?

(魔石が美味そうに見える、かぁ・・・・・・そういえばそこまで知性が高くないモンスターは倒したモンスターを食べるとき魔石まで食べているのか? 魔石は食べれないと判断して食わない奴と、魔石を見て美味いと感じて食べる奴は強さが違うのか? もし俺の考えた説が正しいなら・・・・・・)


ソウスケは自分の判断を信じ、ザハークに魔石を食べる事を許可する。


「いいぞ。この魔石を食べてみろ」


アイテムボックスから取り出されたコボルトの上位種の魔石を渡されたザハークは、ごくりと唾を飲む。


「ホ、ホントウニタベテイインデスカ?」


「おう、気にせず食べて良いぞ」


渡された魔石をザハークは躊躇いなく口に入れ、思いっきり噛み砕いた。

何度も何度も、粉々になるまで噛み砕いた。


そしてしっかりと喉を通せる大きさまで噛み砕けたところで飲み込む。


飲み込んだ瞬間、ザハークの体に衝撃が走った。

モンスターを倒してレベルが上がった訳では無い。

なのに自身の力が上がった感覚がした。


ただ、ザハークが感じたのはそれだけでは無かった。


単純に身体能力が上がるだけでは無く、自身の可能性を感じた。


「ザハーク、大丈夫か? もしかして、というかやっぱり魔石は不味かったのか?」


「イエ、マセキハオイシカッタデス。タベタケッカ、ホンノスコシデスガシンタイノウリョクガアガッタキガシマス」


「・・・・・・やはりそういった効果がありましたか」


「ミレアナはこうなる事がある程度予測出来ていたのか?」


ソウスケはザハークが魔石を食べればどうなるのか、結果は全く予想出来ていなかった。

しかしミレアナは故郷の自分より長く生きているハイ・エルフの者に教えられた知識からまさか本当にそうなのではと予想していた。


「私より年上の同族の方の中にはモンスターの研究をしている方がいました。その方曰く、モンスターの亜種、強化種、異常種、希少種に該当するモンスターは、モンスターにとって第二の心臓とも言える魔石を食べているのではないのかと。魔石は私達の手によって様々な物の素材へ使われます」


「その多岐性がモンスターに反映した結果、亜種や強化種に異常種、希少種が現れる・・・・・・いや、それこそ進化って言った方が正しいか。ちなみにザハークにもそういった感覚はあったか?」


「ハイ。オーガヤオーク、ドチラカニシンカスルトハオモイマスガ、ソレダケデハオワラナイトオモイマス」


なるほどと頷きながらソウスケはザハークの手の甲に写る蒼い紋章を見る。


「まぁ、元から希少種だったんだし、きっと俺らが想像もつかないような進化をするんだろうな」


「その可能性は十分にあります」


希少種のゴブリンがどの様な進化をするのかなんて見当はつかない。普通ならそう思う者が殆どだが、ミレアナは確証はないが予測はしていた。


(あのザハークの肌の色には合わない蒼さ・・・・・・ソウスケさんの水龍の蒼剣の刀身と同じ色。おそらくザハークの進化先と関係がある筈です。というか、今回の出来事でモンスターが魔石を食べれば戦闘を行って実力を上げる以外にも強くなり、進化先が増えるというモンスターの特性がほぼ証明されました)


今回の出来事で分かった情報は通常では考えられない程の金額で得らる情報。

ミレアナはその金額まではそういった業界情報を知らない為解らないが、それでもソウスケの懐が火傷する程熱くなるのだけは理解した。


「ソウスケさん。今回の事で分かった情報をどう致しますか?」


「どうって言われてもな・・・・・・別に金儲けに使う気は無いな。それにモンスターが魔石を食べる事で強くなるって事が解っても、肝心のモンスターが魔石を食べようと思うかは別だろ? ザハークだって最初から魔石が美味しそうに感じた訳では無いんだし」


仮にテイマーを職業にしている物が従魔に無理やり魔石を食べさせようとして反撃を喰らったりすれば責任を持てないので、ソウスケは軽々しく情報を広める気は無かった。

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