百七十三話切り札の確認
ギルドの中に入った二人はセーレを見つけると向かう部屋を尋ねに向かった。
「ミレアナさん」
ソウスケに声を掛けられたセーレは顔を見えていなかったが、声だけで誰が自分に声を掛けて来たのかが分かり、笑顔で振り向く。
「こんにちはソウスケさん、ミレアナさん。顔合わせに使う部屋への案内かしら」
「はい、時間は十分前ぐらいなんで丁度良いかと」
日本で生活していた時から待ち合わせ等では基本的に十分程前に着くのが当たり前だったソウスケは、仕事でもその辺りは大切な事だと思い、宿を少し早めに出発していた。
「良い心がけだと思いますよ。冒険者は信頼されなければ依頼を受けても、依頼主に拒否される事もありますからね。それでは付いて来てください」
セーレの後に付いていくソウスケは前回のFランク昇格試験とは違い、ギルドに来る前の複雑な思いを抱えたまま歩を進めている。
(一緒に依頼を受けるパーティーはおそらく俺達よりランクは上だよな)
ソウスケは気になっていた事をセーレに訊く。
「セーレさん、俺達と一緒に護衛の依頼を受けるパーティーのランクを教えて貰ってもいいですか?」
「そういえば伝え忘れていましたね。すみませんでした」
セーレは一旦立ち止まって後ろを向いてソウスケに頭を下げる。
ソウスケとしては謝罪を求めた訳では無いのでセーレの反応に困ってしまった。
「そ、そんな頭を下げないでください。その場で聞かなかった俺も悪いですから」
「・・・・・・分かりました。一緒に仕事を受けるパーティーのランクでしたね。二つともパーティーのランクはDです。ただ、パーティーのランクがDであって個人のランクは違います」
セーレの説明に二人は個人とパーティーのランクがどう違うのかを大体理解した。
(依頼を受ける時、ソロだとその人のランクによって受けさせても良いかどうか受付嬢は決めるんだろうな。逆にパーティー受けるなら一人ランクが高い奴がいても、他の奴らのランクが低ければパーティーのランクは平均したものになる)
その部分を考えると、基本的にこれ以上パーティーメンバーを増やす気が無いソウスケは自身達にはあまり関係ないと考える。
「一つのパーティーは全員がDランクに達していますが、もう一つのパーティはEランクが数名いますので、ギリギリランクはDと言ったところです。少し素行に問題がありましてね・・・・・・まぁ、お二人ならもう一つのパーティーも軽く捻れるので安心してください」
あまりにもあっさりと言ったセーレの言葉に、ソウスケはそんな事誰が聞いてるか分からない場所で言わないでくれと心の中で突っ込んだ。
(いや・・・・・・マジで心臓に悪い事をいきなり言わないでくださいよ)
心の中で大きく溜息を吐いたソウスケはもう一つ確認しておきたかった事をセーレに訊く。
「セーレさん、実は・・・・・・ってなった時に・・・・・・と言って一先ず反応を見ようと思ってるんですけどいいですか?」
「・・・・・・ふふ、ソウスケさんは本当に面白いですね。ええ、大丈夫ですよ。もし・・・・・・様な状況になったら・・・・・・を使って大丈夫ですよ。幸い、二つのパーティーメンバーとは全員面識がありますからね」
切り札がしっかり使えると確信したソウスケはホッと一安心する。
そして目的の部屋の前に着き、中へ入ると・・・・・・見知った人物が二人ほどいた。
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