百七十話簡単に埋められない物

コボルトキングを完全に仕留めたソウスケの元に風の槍を消したミレアナが駆け寄る。


「お疲れ様です!!! 流石ソウスケさんです。殆ど決定打を貰わずに圧勝でしたね!!」


「・・・・・・そうだな。なぁ、一つ聞いて良いか?」


「? はい。全然大丈夫ですが」


ソウスケはコボルトキングと戦っている最中は対して気にしていなかったが、終わってからコボルトキングの戦い方に疑問を感じた。


「高ランクのモンスター・・・・・・主にBランク以上のモンスターは戦う事に関してかなり頭が良いのか? それとも種族や経験値によって差が出てくるのか?」


「・・・・・・一概にこうだとは言えませんが、おそらく後者の考えが正しいかと。もっと言えば、ソウスケさんの頭が良いの基準は分かりませんが、群れを率いる長、リーダーの様な立場であるモンスターならばBランクでなくとも頭は良いかと思います」


「そうか・・・・・・ありがとな。まだ日が暮れるまで時間はあるだろうし、出来るだけ血抜きと解体を終わらせよう」


「分かりました。それでは血抜きをパパッと終わらせてしまいますね」


二人で解体を進める中でソウスケはずっと高ランクモンスターの頭の良さについて考えていた。


(そもそも高ランクモンスターに生まれた時点で長く生きてるようなもんだよな。いや・・・・・・今回戦ったコボルトキングなんかはコボルトから進化し続けて来た奴だと経験値はバカにならないほどあるよな。今日戦ったコボルトキングは冷静さを欠いていたからか運良く無傷で倒す事が出来たけど、次がそう上手く行くとは限らないしな)


ソウスケには優秀な装備、多くのスキル、圧倒的な格上を倒して得たレベルがある。

高ランクモンスターであっても、完全に意識が散る事無く目前の敵に集中すれば簡単に負ける事は無い。

ただ、それらの多くのカードを手に入れるには本来長い月日を経て手に入れる事が出来る者であり、ソウスケにはその経験が無いに等しかった。


傍から見れば戦えている様に見えるかもしれない。それでもそう見えるのは多くのスキルでカバーしているから。


(スキルを封じるマジックアイテムやスキル・・・・・・スキルロックてな感じの物がないとは言えないからな。本当に死に物狂いで襲い掛かられた時に冷静でいられるか、慌てずに対処できるか・・・・・・多分無理だろうな)


自身が結果は無傷で終わったが、死に物狂いで戦った事はある。

ダンジョンの最下層のボス、ワイバーンと戦う時にソウスケは確かに死に物狂いでで戦った。


(今思えば水の盾があったとはいえ、よく炎のブレスに突っ込んだよな)


普通に考えれば打開策が有れど、特攻にしか思えないような行動を取った自分にソウスケは称賛を送っても良いのではと思った。


(まぁ、あの行動が俺の勇気・・・・・・もしくは覚悟から出来た行動なのか、それとも俺をこの世界に転移させた神様が俺の心、あるいは思考少し弄ったのか。・・・・・・前者であって欲しいけど、後者な気がしなくもないんだよな)


自身を転移させた女の子が本当に神様なのかなんて分からないが、漫画に出てくるような世界にこうして生きている時点で女の子が人の心や思考を弄れてもなんら不思議ではない、そう思えた。


(・・・・・・うん、取りあえずこの事を考えるのはやめよう。考えたって無駄だしな。経験値の差は・・・・・・これからなるべく間隔を開けずにモンスターと戦って積んでいこう)


一旦考える事を止めて、ソウスケは一先ず解体に集中して作業速度を上げる。

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