百六十八話咄嗟に・・・・・・
雷球による痺れの効果を火力を増した炎で無効化したコボルトキングが屈伸状態で着地し、そのままソウスケに向かって駆け出す。
「込められた魔力量でも関係しているのか?」
自身の雷球で痺れさせてから雷槍で貫こうと考えていたが、予定を狂わされたので締めの技だった雷槍を牽制に変える。
一瞬止めた動きを再開させ、雷球と同じくコボルトキング自身を狙わずに少し手前の地面に突き刺さる様に投げる。そして唯投げるだけでなく、少し工夫を加えた。
(今度こそ動きが止まるはずだ)
ソウスケが投擲した雷槍は途中で分散し、七本に分かれてコボルトキングの行く手を阻んだ。
分散しても込めた魔力量は雷球より多いため、今回は確実に動きを止める筈だとソウスケは確信する。
そして変形した蛇腹剣を纏う雷の形状を高速で回転させ、切れ味を増加させコボルトキングの首か胴体を切断、もしくは急所を一突きと考えていた。
「・・・・・・おいおい、それも効果ないのかよ」
自身もコボルトキングに向かって駆け出し、痺れの効果が切れる前に速く止めを刺そうと考えていたソウスケは前に動くために力を後ろに動かし、前傾姿勢のまま後ろへ跳ぶ。
コボルトキングは自身の進行方向に突き刺さった雷槍を両腕を振りかざし、クロスさせて炎を纏った爪であっさりと掻き消してしまう。
そして慌てて後ろに下がるソウスケへもう一度両腕をクロスさせて炎の爪を放つ、
網目状に放たれた炎に対してソウスケも同じように五指から雷の刃を放って相殺させる。
雷爪を放った瞬間にコボルトキングが移動したのを勘付いたソウスケは右から迫るコボルトキングの右ストーレートを回避が間に合いそうにないため、腕を交差させてガードしようとするが、コボルトキングの一手によりそれは失敗に終わる。
「グルルルララァァァアアアアアアアアーーーーーーーー!!!!!!!」
「ッ――――――――!!!!????」
コボルトキングの咆哮により動きが止まってしまったソウスケは右ストレートをもろに喰らわないためにはどうするか、頭をフル回転させて考える。
(不味い!!! このまま右ストレートを喰らったらマジでシャレにならない。考えろ、考えろ、考えるんだ!!)
自身の体が動かないが魔力は操れる。しかし迫る右ストレートとの距離と魔法の発動までの時間を計算すると迎撃する前に攻撃を喰らってしまう。
そこでソウスケを咄嗟に蛇腹剣を伸ばして峰を自分の腕に当て、刃でコボルトキングの右ストレートを受ける。
「ッ!!! 熱っつ!!!!!」
「ッ――――――!!!???」
ソウスケは後ほんの十数センチで触れる炎の暑さに顔を歪め、右ストレートを受けた衝撃で後方へと
吹っ飛ばされてしまう。
しかしコボルトキングも無傷とはいかず、変形した蛇腹剣の刃が右拳に当たった事で見事に切れてしまった。
中程まで拳が切れてしまったため本来なら追撃して仕留める予定だったが、予想外の痛手に動きを止めてしまう。
膝を付いてしまうが、直ぐに痛みを我慢して自身の炎で傷口を焼く。
大変荒っぽい応急処置であるが、再生や自然回復のスキルを持っていないコボルトキングの止血方法をこれしかなく、無理やり深く切り込まれた右拳を無理やり接合してしまう。
止血が終わり接合が完了したコボルトキングは右てを開いて閉じて感覚を確かめる。
痛みは消えた訳ではない、それでもこの戦いの間はまだ使える筈だと思い、直ぐにソウスケの方へ視線を向けたが・・・・・・相手は既に攻撃態勢に入っていた。
「ライトニングウェーブ」
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