女の子とプールサイドでランチをするのは男の夢の一つ
ウォータースライダーを楽しみ、興奮冷めやらぬトシヤ達(と言ってもウォータースライダーで興奮しているのはハルカだけでトシヤとマサオの興奮の要因は別のところにあるし、ルナに至っては元よりそんなに興奮していない)は火照った身体と頭をクールダウンする為に流れるプールへとまた向かった。
『流れるプール』の醍醐味はプカプカと浮きながら流れる水に身を委ねることだ。だがしかし、水に浮かぶことが出来るのはハルカだけ。トシヤもマサオも、あまつさえルナまでもがそんなスキルは持ち合わせていなかった。浮き輪やビーチボールでもあれば良かったのだが残念ながらそんなモノは持って来ていない。つまり本当に『流れるプール』を楽しめるのはハルカだけだ。とは言うもののトシヤはハルカが、マサオはルナが一緒なのだから楽しくないワケが無い……という事は、ルナだけが楽しくないのか?
いやいや、ルナはなんだかんだ言ってヒルクライムだけで無く色々な遊びに付き合っているのだ。だから全く楽しくない……なんて事は無いだろう。
ともかく流れるプールを一周してクールダウンした後、トシヤ達は遅い昼食を取ることにした。
プールでの食事と言えばプールサイドのテーブルでの軽食だ。だが生憎テーブルは先客がいっぱいで、空いている席が無い。
「お茶の時間だから仕方無いな」
困った顔でトシヤが言うとマサオがやはり困った顔で言い返した。
「いやいや、仕方無いじゃ済ませられないだろ」
「じゃあ、どうするよ?」
「一旦外出るか?」
ヒソヒソと話すトシヤとマサオ。ここ『しらパー』はプールの入場者は一旦プールエリアから出て、水着のままでパーク内をウロウロした後でプールエリアに再入場することがオフィシャルで認められているのだが、遊園地を水着でウロウロするなんてハルカとルナは恥ずかしがるだろう。それぐらいはトシヤとマサオにもわかる。
さてどうしたものかと悩むトシヤとマサオだったが、悩んでいても仕方が無い。とりあえず食べ物と飲み物を調達し、最悪プールサイドの隅っこにでも座り込んで食べようか……などと考えているうちに席が一つ空いた。
「トシヤ!」
「おう!」
トシヤとマサオは一瞬のアイコンタクトの後トシヤは席を確保、マサオは食べ物と飲み物を買いに売店へと二手に別れた。その素早い行動にハルカとルナはその場に突っ立って呆気に取られていたが、すぐに一つの問題に直面していることに気付いた。
『問題』それは『ハルカとルナがどう動くか』という事だ。トシヤと共にテーブルでマサオを待つか? それともトシヤに席を取っておいてもらってマサオと食べ物と飲み物の調達をするか? ルナは少し考え、答えを出した。
「ハルカちゃんはトシヤ君と一緒に席で待ってて良いわよ。私はマサオ君とお昼ご飯買ってくるから」
「うん!」
ハルカはルナの提案に元気良く頷いた。こうしてまた暫くの間トシヤとハルカ、マサオとルナは二人っきりだ。はたしてトシヤとマサオはこのチャンスを活かすことができるのだろうか……?
ルナと別れたハルカはテーブル席に向かい、トシヤの隣にそっと座った。この時、テーブルが丸テーブルだったから良かった。もしテーブルが四角だったら『隣に座るか向かいに座るか』でハルカはさぞ悩んだことだろう。
「ルナ先輩が座って待ってて良いって」
はにかんだ顔で言うハルカにトシヤは優しく微笑んで答えた。
「そっか。じゃあ、お言葉に甘えて待ってようか」
なんだかんだ言ってもトシヤは自分がまたハルカと二人っきりになれるのが嬉しいみたいだ。それならマサオとルナ抜きで二人で会ったり遊びに行ったりすれば良さそうなものだが……と言うか、寧ろ何故トシヤはハルカと二人だけで会おうとしないのだろう?
答えは簡単、トシヤが根性無しで、ハルカに誘いをかける度についつい「マサオも……」とか「ルナ先輩も……」などと言ってしまい、結局は二人だけでは無く四人で遊びに行くことになってしまうのだ。まあ、こういう時期も楽しいものかもしれないが。
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