未知の旅へ



 その後、魔人の再封印は無事にできたらしい。


 みな、冷や汗掻きながら報告を待っていたから、その知らせには大層喜んでいた。


 その後しばらくはお偉いさん達同士で話し合いがあるため、両親が長期間家を空ける事になってしまったが、仕方ない。


 元の平穏が戻ってくるには数週間かかった。






「ラックス様、ほんとうによろしいのでしょうか」

「ああ、だってしおんは、たいせつなかぞくだからな」

「そんな、もったいないお言葉です」


 数週間後、俺は屋敷を離れる事になっていた。


 荷物を詰め込んだカバンを持って、屋敷を離れるところだった。


 魔人との戦闘の件で、さすがに経験を積んだ兵士達の目をごまかす事はできなかったようだ。


 俺があの戦いで、何らかのスキルを使っていたことがばれたらしい。


 強力な力を持った子供を待ち受けるのは、良い運命とは限らない。

 俺はそれを、ある意味身をもって実感しているため、しばらく行方をくらませることにしたのだ。


 けど理由はそれだけじゃない。


 シオンの体の中には未だにいのちのかけらが宿っている。


 それを取り出す方法を探してやりたかった。


 だから、色々な場所に行って過去の事を調べていくつもりだ。


 玄関で見送る両親が話しかけてきた。


「ラックス、それにシオンも、元気でね」

「いつでも帰ってきていいんだぞ。俺達はそもそもお前を守る気でいたんだから」

「ありがとうございます。かあさま、とうさま。でもあまえっぱなしにはいきませんから」


 二人とも実はつい先日まで、俺に旅はまだ早いと反対していた。

 

 俺はまだ子供で、喋り方もつたないから当然だろう。


 でも俺の意思が、どうやってもまがらない物だと分かったらしく、この決断を尊重してくれるようになったのだ。


 二人は、俺を抱きしめて最後に一言ずつ別れの言葉をかけてきた。


「健康には気を付けて」

「悪い人には用心しなさい」

「かならず、またかえってきます。やくそくです!」


 俺はシオンと手をつないで、旅への一歩を踏み出した。


「ラルトス様、シャリー様、ラックス様は必ず私がお守りします!」


 何が待ち受けているか分からない。


 けれど、シオンの前では二度も挫けたりはしない。


 そう誓いながら。


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