第15話 追いかけて
シオンを追いかけて、外へ。
彼女の姿はもう見えなくなったけど、諦めるわけにはいかない。
ふみしめられた草の後を見ながら、方角に検討をつけてはしる。
けれど、子供の足ではたかが知れている。
走っても走っても、シオンに追いつく事ができなかった。
「くそっ、しおん」
いつもこちらを見守ってくれていたシオン。
使用人としてだったけど、俺にはしっかりものの姉のような存在だった。
そんなシオンがいなくなる?
あんな泣き顔だけ俺の記憶に残して?
そんなの、受け入れられるわけがない。
「どこに行ったんだよ!」
叫びながら、がむしゃらに走る。
けれど、シオンの姿を見つけることはできなかった。
一時間も彼女の姿を探して走った。
けれど、とうとう俺が追いつくことはなかった。
疲れた俺は、足をとめて天をなげく。
なんで、こんな事になった。
昨日までは、いや魔人の封印が説かれたことを知る昼までは、普通だったじゃないか。
それなのに、たった半時でなんでこんなに違ってしまうんだ。
荒事もなく平穏なだけの日々。
それでもありふれた日々が、幸せなものだったと思い知った。
本当にもうシオンには会えないのだろうか。
彼女のいない生活を思い浮かべようとしても、うまくいかない。
シオンの存在はそれだけ俺にとって身近なものだった。
あきらめて帰るしかない。
そう思ったとき、ふと思いついた。
転生した時に、力を授かった。
それを役立てるのは今なんじゃないか?
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