あり得ない力

「つーかさ。ミナ、大丈夫なの?」

 近くにいたクラスメートが恐る恐る声をかけてきた。

 いつもならミナがいる時にしか話しかけてこないのだが、ミナの変化に少なからず戸惑っているようだ。

「ミナ、最近ずっとケータイばっか見てるでしょ?」

「それってさ、例のサイトのヤツなんでしょう?」

「ヤバくない? だってあのサイトってさ…」

 マカはクラスメート逹が語る都市伝説を黙って聞いていた。

 昼休みが終わるギリギリになって、ミナは戻ってきた。

 だがその顔色は真っ青だった。



 ―そして放課後。

「ミナ、例のサイト教えて」

「え?」

 マカはケータイ片手に、ミナに話しかけた。

「私も見てみる。効果を調べてみたい」

「でっでも、マカに【解放】するところなんて…」

「無いことは無いんだ。だから試してみたい」

 はっきりと言われ、真っ直ぐに見つめられてはイヤとは言えない。

「…分かった」

 ミナは自分のケータイを取り出し、例のサイトを画面に出して、マカに渡した。

「ありがと」

 マカは両手で二つのケータイを操作した。

 一分も経たないうちに、ミナのケータイを差し出した。

「今日はどうする? 一緒に帰るか?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る