第49話 ブレードバード

 朝食の最中なんと魔獣が襲って来た。


「警報だ完全に油断してた。朝食の匂いにつられたか」

「【魔力探知】一匹のようです。魔力障壁を使ってます」

「足音からすと巨大だ四足だ」




 巨大な猪の魔獣が現れた。


「いた。めんどくさい時に来たなサクッと終わらせよう」


 魔力障壁を使っている魔獣は魔力を使った攻撃は効かない。

 しかしフィオレラに木の的に魔力障壁を掛けるよう言って実験した結果分かったのは。

 早い速度なら魔力は減衰するけど、完全には防げない事が分かった。

 弾丸の速度があれば問題ない。

 魔弾の試験は後でやるつもりだったが、やってしまおう。


 魔獣は突進の力を貯めているようだ後ろ足で地面をかいている。

 貫通の魔弾を銃にセットしてレーザーサイトで狙いを付けて撃つ。

 額に銃弾はめり込み脳まで達したようだ。


「さすが貫通の魔弾だ」


 朝食の残りを急いで摂る。

 魔獣から魔石と牙と皮を剥ぎついでに昼飯用に肉も取る。

 野営地を撤収して狩りに向かう。




「今日は魔力ゴーレムの運用を試行錯誤だ」

「魔道具を色んな種類作りましたけど、その試験はいいんですか?」

「それは帰りにオークの領域でやる予定だ」

「この持たせでもらった投擲魔道具使ってもいはんですか?」

「それはローレッタの切り札にしてくれ。群れなんかに効果があると思う。使い捨てじゃあないから見つけ難い所には投げるなよ」

「んだか大切に使う」




 フィオレラに魔獣を探してもらう。

 魔獣は五匹の群れだった。


「いた。パンデミックラットの子連れか」


 二匹の親と少し小ぶりな三匹の子供がいる。子供がいるとは珍しい。


「フィオレラ石の盾の練習だ。石の弾を防いでほしい。ローレッタは弓で牽制してくれ」


 魔力ゴーレムをパンデミックラットの近くまで移動させる。

 まずは親からだ。ゼロレンジ魔法で攻撃する。

 攻撃の役割の親を雷魔法で倒す。

 防御の親はキョロキョロ辺りを見回し攻撃の出所を探っている。

 子供はバラバラに石弾を打ち出してきた。

 フィオレラは上手く防いでいる。


 ローレッタが矢を放つが親に防がれた。

 魔力ゴーレムを親の背後に移動させる。

 今だゼロレンジ魔法で攻撃した。仕留めたぞ。


 見るとローレッタが子供の一匹を仕留めている。

 後はローレッタに任せよう。

 全て仕留めたので泥ゴーレムを作って魔石を取り出す。




「魔力ゴーレム今のところ魔力障壁以外無敵だ。見えないというのが良いな。この力でSランクに成れれば良いんだが」

「師匠なら絶対にSランクに成れます」

「よし次にいこう」




 歩きながら魔獣を探す。いたみたい。フィオレラの顔色はさえない。


「どうしたフィオレラ」

「五十匹以上の群れなんですけど、逃げます?」

「もしもの時はトルネードだ。それでも駄目なら逃げよう」


 近づいていくとガアガアうるさい泣き声が聞こえてきた。

 更に近づく。

 大木に止まっている鳥の魔獣の群れがみえる。

 ブレードバードだ。

 こいつは頭上から風の刃を撃ってくる。

 逃げた方が良いと言われている魔獣だ。




「どうしよう。トルネードなら一発だ。しかし、十五メートルまで近づくのは怖い」

「撃ち漏らしたら、防げるか分かりません」

「これはわの弓の腕でもどうにもなりそうにねだ」

「よしゆっくり騒がずに逃げよう」


 音をなるべく立てない様に逃げる




 羽ばたく音がする。

 振り返ると一羽のブレードバードが追いかけてきた。

 斥候かな非常に不味い気がする。


「追いかけてきたぞどうする」

「どしようもね。撃ち落すべ」

「よしローレッタやるぞ」


 誘導の魔弾をセットして撃つ。

 弾丸はあっさりブレードバードを貫く。




「全速力で逃げるぞ」

「「はい」」


 しばらく必死に走る。

 フィオレラを見ると馬ゴーレムに掴まって自分では走っていなかった。

 ずるいが足が一番遅いから仕方がない。

 息が切れて走れないという所まで逃げた。


「はぁはぁ、もういいだろう。フィオレラ調べてみてくれ」

「【魔力探知】辺りに魔獣はいません」

「ぜぇぜぇ、もうはけらいね」

「少し休もう。魔力ゴーレムも無敵ではない実感した。Sランクは遠い」


 しばらく休む。




 誘導の魔弾が役に立った。

 後試してないのは風の刃の魔弾と投擲魔道具か。

 ワイバーンの領域は意外に手強い。

 腕時計を見る。


「いい時間なんで昼飯を食べよう」


 猪の肉を串焼きにする。

 滴る油が焦げて香ばしい匂いが漂う。

 串焼きをたらふく食い。

 次の魔獣を探す。




「いました。一匹です」

「見えたアサシンレパードだ」


 こいつでいいや。風の刃の魔弾を試そう。


 出会い頭に魔弾をぶち込む。

 直撃はしなかったが、風の刃がかすり片目が見えない様だ。

 投擲魔道具もついでに試そう。

 鉄条網の魔道具を投げた。

 しかし効果範囲外に逃げられる。


「ローレッタ、投擲魔道具を投げてくれ」


 見えない片目の死角に魔道具が投げ込まれる。

 風の刃は最初の一発だけ当り他は避けられた。

 しょうがない銃で止めを刺そう。

 風の刃の一発が効いているのか動きは鈍い。

 ばら撒くように銃を連射する。

 大体当った。

 倒れたのを見て死んでいるのを確認する。

 魔石を取り投擲魔道具は回収した。




「今日はこれで狩りを終えよう。野営地を探すぞ」


 野営の準備が済み、夕飯を終えたところで魔道具の感想を聞く。


「魔道具なんだがどう思った」

「ええっと魔弾はどれも良さそうですね。投擲魔道具は使い方が難しいですね」


「弓から銃に転向してぐなってった。私に作ってもらえん?」

「うーんミスリルがな高いんだよな魔鉄製なら良いけど」

「ミスリルの方が魔鉄より硬てのは分かるばって。魔鉄でも大丈夫でねだが」


「よし帰ったら、作る方向でいこう。しかし、魔弾は高いからバカスカ撃てないぞ」

「それはアビリティで補うべと思うのだばって」

「それは無理だ。例えば貫通のアビリティを弾に掛けたとする。発射する時たぶん銃身を削るぞ」

「それは盲点だ。それだと使えるのが遠目ど筋力強化のみになってまる」


「そうだな。帰ってから良く考えろ。フィオレラ見張りよろしく。おやすみ」

「おやすみなさい」

「ねへ」


 今日はブレードバードの群れには歯が立たなかった。

 いつかリベンジしたいと思いながら眠りつく。

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