第2話

XX月XX日

システム:オールグリーン


ワタシがこの日誌を書くのも二度目になります。彼はちょうど今、舟の部品を調達してきているということでワタシがこの研究所のお留守番を務めています。彼の研究所は都市部から少し離れている場所にあります。これも、彼と敵対する組織の目から逃れる為です。彼の仲間がいた頃にそう提案され、彼1人になった今でもそこで暮らしているようです。その為、この場所は彼1人に対して少し広すぎるように感じます。

ワタシは彼のかつての仲間たちのことはほとんど知りません。ワタシが目を覚ました時には、彼1人だけが泣き濡れた顔でワタシを見つめていました。それだけです。

彼はにこやかにワタシに話しかけてくれます。彼は誰より健常そうに見えます。けれど、彼の傍にずっといたワタシはわかります。彼は笑顔で、その心の奥にある淋しさをひた隠しています。彼が大事そうに飾っている写真には彼の仲間と思わしき人々が写っています。この中で一番若いのが彼でしょう。きっと昔は彼らに守られて……おや、話が長くなってしまいました。いくら私情を多少吐露していいとはいえ、他人の事情に深入りするのは野暮なことでした。今日はここの辺りで終わらせて頂きましょう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る