第6話帰り道
『私と付き合ってくださる?』
何を言ってるんだこの女性は。こんな俺とこんな綺麗な人が付き合うなんて
『無理無理無理無理!付き合うなんて、そ、そ、そんな申し訳ないで、す』
なんとか日本語にし伝わった。すると女性は笑いながら
『何を考えてらっしゃるの?一緒に帰りましょうとお誘いしてるのにダメだったかしら?』
俺はとんでもない勘違いをしていた。そうだ、これが普通だ。そう、それが普通...俺は少し落ち込んだが
『は、はいじゃあ帰りましょう』
と言った。まぁよく考えるとこんな綺麗な人と一緒に帰れるだけで幸せだ。女性は微笑み
『私は金田友香、よろしくね』
う、美しい。
『は、はい。友香しゃん、よろしくお願いします。』
しまった。噛んだ。つい数分までのイケボは何処へ。しかし友香さんは可愛いと笑い手を差し伸べる。俺はそれにもちろん答え手を借りた。
『さぁ、音帰りますよ』
『はーい、ごめんね?私もセットなの』
入学式で隣にいた小池 音も同行するようだ。二人きりを期待した俺は少し寂しかったが逆によかったのかもしれない。先に教室から出た。俺も先に出ようとしたが教室の女子達が手を振ってきたので振り返し二人をおった。
どうやら友香さんとは家の方向は反対だが黙ってついていった。友香さんと小池 音は俺より先を歩いていた。後ろ姿からも友香さんの美しさは伝わってくる。そんな友香さんに見とれていると足元の小さな段差に躓き派手に転んだ。やはり俺はついてない。すると前の二人が気づき小池 音が走って心配してきてくれた。
『大丈夫〜?はい、これ』
ポケットからティッシュを取り出し俺にくれた。
『ありがとう、えっと小池さん』
友香さんの印象が強くて小池 音の名前がすぐ出てこなかった。すると不満げに小池は
『なにそれー!他人みたいじゃん!音でいいよ!』
と笑いながら言ってきたが俺とお前は他人だ。そんなことを思いながらも俺は
『ありがとう音』
笑顔で返した。こいつとは友達になれそうだ。音は笑顔を返してくれた。そんな小さな幸せを噛み締めていると前から
『あの二人でいちゃつかないで下さる?帰りますわよ』
少し不機嫌に友香さんが言ってきた。
『はい、申し訳ございません!』
なぜか同じセリフを兵隊のポーズをしながら俺と音は言っていた。そんな俺たちをみて友香さんはため息をついた。軽く3人で自己紹介などをしながら話していると友香さんが言った。
『ところで小坂君は部活動何に入るの?』
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