第20話 幻覚飛行

変幻自在の翼持ち

黄昏の闇を駆け抜けて

そぞろゆく海原を

何となしに孔雀の群れに

軽い挨拶など送りつつ

振り返り見れば

遠く霞む十字路の狭間で

屍肉を貪る鴉どもが

金切り声を上げて鳴く


鬱蒼とした森を抜け

堆く積まれた細胞の隅に

命脈のなだらかな丘を眺める

死したものどもの夢の跡を

小指の先で辿りながら

急転直下を覆し

半円の月の主人に

薔薇で飾った冠を贈ろう



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