第8話 夜霧
夜霧よ
そなたは魔性の女に似る
そなたの前では何もかもが幻想的に煌めき
暗闇さえもその陰鬱さを引っ込める
月光の美しささえ覆い隠し
時には薄汚れた街灯さえ
月と見まごうばかりの代物に化かしてしまう
しかし夜霧よ
そなたは魔性の女に似ているのだ
そなたの内にある陰鬱な影は覆い隠され
血腥き内側の生は息を潜める
そして何よりも美しいそなたは
一晩のうちに跡形もなく我々の前から姿を消し
ただ記憶の盲目の内に
その妖艶な美しさのみを凄惨にも刻み付け
我々を昼となく夜となく
欲望の最果てへ導かんと苦しめ続ける
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます