勇者一行が最初の村でLV999の魔王にワンパンでやられて僧侶が異世界に飛ばされた話
てあとりす
エピローグ
「俺達、遂に明日から魔王討伐への旅が始まるんだな」
ふと勇者の仲間の影の薄い戦士がそう呟く
「ああ、そうだな」
勇者がその呟きに同意するように頷く
「まずは王様に会いにアストリア城を目指さなきゃね」
そんな事を言いだしたのは教会の回復魔法試験でトップの成績を叩き出した僧侶だ
「道中で死んだらどうしよう・・・その時は復活魔法かけてくれよな」
人一倍体力が少ない魔法使いが僧侶に注文をつける
「まだそんな高度な回復呪文使えないわよ!」
僧侶がそう言うと、魔法使いは怯えたような顔つきになりがっくりと肩を落とす
「おいおい、旅を始める前に物騒な事言うんじゃねーよ」
「それに死んだら教会に行けばいいだろ」
勇者と戦士が僧侶と魔法使いに対してそう話しかける
「そうだな、ちゃんと生き返らせてくれるよな!」
魔法使いは安堵したかのような表情になりその態度が気に食わない僧侶は
「明日は早いし家に帰りましょ」
と、急に話をまとめだした
勇者はそれ俺の台詞・・・と内心思いながらも戦士と魔法使いと共に頷き帰路につく
明日が、旅立ちの日が遂に来るのだ
-------------ドゴーーーン!!!
轟音が空に鳴り響いた
「なんだ!?」
就寝中の勇者がその大きすぎる音に対して飛び起きる
しかし、その音は村全体に鳴り響くのである
「----何が起きてるんだ?」
外からは村人の助けて、助けて、という断末魔にも似た悲鳴が聞こえる
その声に釣られて外に出た勇者が見たものは
辺り一面真っ赤な炎と無残にも崩壊した自分達が住んでる村の建物である
「うそ・・・だろ・・・?なんなんだよこれ、なんなんだよこれえーーーー!!!!!」
勇者が空に向かって叫ぶ
その声に向かって集まって来たのは勇者をよく知るパーティーメンバーの 戦士 僧侶 魔法使いである
「お、おい!!何が起きてるんだよこれ!」
「わかんねえよ!!こんな事初めてなんだよ!!!」
戦士が勇者に語りかけるも突然の事で勇者も困惑の色が隠せない
「とりあえず村の皆を避難させましょう、あの丘ならさっき高台に登って見たけど被害がなかったわ」
僧侶の言葉に一同頷き、実行に移そうとした時に炎から1つの影が現れる
「なんだ?炎の中になにかいるぞ?」
「戦士、お前そういうのは良いから早く村の皆を」
勇者がその言葉を言い終わる前に炎の中から仮面を被った人とは思えないものが出てくる
「っ・・・!全員にヴォエッ!!!!」
またしてもその言葉を言い終わる前に勇者の膝が崩れ落ちる
「勇者・・・?」
「お、おい、おい!?!?」
「もういや・・・ううう」
その言葉を返してくれる勇者は既に事切れており、目の前の仮面を被ったものが喋りだす
「ここ、はじまりの村で良かったですかね?
実はわたし魔王城に住んでる魔王で勇者一行さんに用事があって訪ねてきたのですが
少々やりすぎたかもしれません。
さて、勇者さんはどこにいますかね?早急に解決しないといけないのですが。」
戦士と魔法使いが魔王の話が終わると同時に飛びかかる
「うおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
「うああああああああああああああああ!!!」
戦士の必殺の一刀切りと魔法使いのファイアーボールが魔王の身体を捉えたと思えた次の瞬間
「うるさいですね・・・」
魔王が呟き手を振る
「「ヴォエッ!!!」」
戦士と魔法使いの身体が細切れになる
「嘘、、、嘘でしょ?・・・こんな、こんな事って・・・ううう」
僧侶は一人魔王の前で泣き出す
魔王は興が削がれたのか辺りを見回し周辺に人がいない事を確認し
「生き残りは・・・いなそうだな。さて、こいつはどうするか・・・」
目の前で泣いてる僧侶をどうするか迷い出す
「ううう・・・殺してやる・・・ううう・・・」
しかし僧侶が覚えてる魔法は回復呪文だけなので魔王にダメージは与えれない
「ふふっ、お前面白いな、しかしお前の村の人間はもう誰一人いまい
一人で生きるのは辛かろう、どれ・・・」
魔王が詠唱し、空に魔法陣が浮かび上がる
その魔法陣の中央に僧侶が吸い寄せられる
「わたしが憎いか、わたしが憎いのならば強くなりいつの日か倒せるようになったら相手をしてやろう
それまでどこか遠い星で力をつけてくるんだな
この魔方陣の先はわたしにもどうなってるかわからぬ、
なればこそ、その先でお前に待つのは不幸か幸福 かもわからぬが仲間に恥じない生き方をせよ」
魔王はそう言うと最後の詠唱をし、紫色の魔法陣が空へと消えて行く
「結局勇者はどこなんだ・・・?」
魔王の呟きが、崩壊した村にぽつんと響き渡る
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