第六章 /来店

職員室にまで連れてかれて、そこで一時間グチられた。

芸能界入りをすれば、勉強をおろそかにするのではないのか、他の生徒に悪影響を与えるんじゃないかと言われ続けた。

しおらしく聞いていたが本当はイライラしていた。

早くあの店に行きたいのに、こんな所で足止めをくらうなんて思わなかった。

やがて他の先生方が止めに入り、やっと解放された。

しかしすでに辺りは薄暗くなっていた。

最初に来店した時のように、夕闇がおとずれた。

思わず舌打ちしてしまう。

40過ぎても結婚していない担任の女性は、女子生徒に人気が無かった。

女子生徒には必要以上に厳しく、男子生徒には甘かったからだ。

今回のことだって、学校側は芸能界のことを容認しているのに、あえての呼び出し。

同じ学校の彼氏にも何かとちょっかいを出しているのも気にくわない。


―消えれば良いのに…!―


ふと出た呟きだったが、本心だった。

だがその考えもすぐに消えた。

目的の店の前に到着したからだ。

深く息を吐いて、扉を開けた。


―おや、いらっしゃいませ―


青年の笑顔を見て、ほっとした。

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