第二章 /少女

その少女は日常に飽きていた。刺激に飢えていた。 

毎日毎日、変わることなく続く『今日』から抜け出したくて、たまらなかった。

生まれて17年、平凡なことが幸せだと教えられても受け入れられなかった。

刺激が欲しかった。

心が渇いてしょうがなかった。

だけど何をすれば満たされるのか分からず、悩んでいた。

『今日』も同じことを考えていた。

学校からの帰り道、友達と他愛のない話をしながら笑顔を作る。

それが友好関係をスムーズにする方法。いつの間にか覚えていた。

友達と別れると、深くため息をついた。


―くだらない―


そう思いながらも、抜け出せない。

もどかしさを感じながら歩き出す。

この辺りは女の子向けの小物や洋服、可愛らしい家具の店が立ち並ぶ。

ケーキ喫茶店やクレープの店もあるので、いつも夕方は学生逹で賑わっていた。

でも今日は別の所で寄り道をしてきたので、辺りはすでに薄暗くなっていた。

それにともない、学生の数もちらほら見かける程度になっていた。

夕闇の中、ぼんやり歩いていると、ふと何かに呼ばれた。

足を止め、周囲をキョロキョロ見回した。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る