第5話 措置入院
私が注意欠陥・多動性障害と診断されたのは、職場でのいじめが原因だった。
その改善策は投薬治療のみだった。
だが薬を飲み続けながら日常生活を送っていても一向によくならない。
改善している点はあるものの、ストレスがかかるとすべて台無しになる。
そんな闘病生活だった。
措置入院はそんな泥沼に終止符を打った。
まず私は外からしか鍵がかからない8畳ほどの部屋に閉じ込められた。
そこには布団とトイレしかなかった。
看護士が定期的に採血や脈拍を測りに来たり、食事を運んで来たりした。
空調も聞いていて、過ごしやすかったかといわれれば、楽ではあったとは答えられる。
入院患者の私には主治医がいた。
主治医の判断ですべてが決まる。
だから私の状態をみて、彼は面会謝絶を言い渡した。
電話は10分だけ。
個室から外へ出ることは許されない。
私はDVをしていたし、自傷癖もあった。
看護士と話していたとき突然壁に頭を打ちつけた。
何人もの看護士がやってきて押さえつけてきた。
最後に主治医が、身体を拘束すると私に伝えてきた。
ベッドにつけられた拘束具に身体を束縛される。
苦手な足首にもそれがつけられ、一晩中悲鳴を上げていた。
トイレにもいけないので、当然おむつ。
人間の尊厳を失ったような気分になった。
「あなたの身を守るため」
拘束の理由を看護士は口々に言うが、それは建前で単に暴れられると問題だからだろうとしか、私は思っていない。
そうして四日間は拘束されたままだったし、それが取れても個室から出られることはなかった。
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