第33話 あたしの先輩のガードは初対面から

 入学した頃、あたしは部活見学で放課後の学校を歩いていた。


「文芸部?」


 ネクラっぽいと笑いつつ好奇心で部室を覗くと、


「冷やかしなら帰ってくれ」


 窓からの夕日に赤く染まった先輩が、大理石の彫刻のような顔で一瞥もなく読書する姿があった。


「入部します」


 その姿があまりに美しく見えたあたしがそう口走ると、完璧な彫刻顔が「は?」とマヌケに崩れ……最高に萌えた。

 ……って、思い返すと初対面からガードされてない、あたし?

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