第35話 先輩はガードが楽しいそうですが

「いい顔してる」


 むぐぐ顔のあたしにそう意地悪く微笑む幼馴染。


「からかってますね」

「あなた楽しいから」


 ジト目での抗議を軽く受け流した彼女は、けれど不意に笑うのをやめて優しいまなざしであたしを見た。


「それが感謝の理由」

「え?」


 意味が取れずに訊き返すと、彼女は肩をすくめて答えた。


「あいつも楽しそうでしょ?」


 先輩が楽しいのはうれしいですが、毎回お約束みたいにガードされるのはほんのちょっと楽しくないですよ?

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