第24話 変わらず
『さあ!いよいよ有人でのワープ実験です!』
元気な司会者の声がスピーカーから聞こえてくる。そんな中大石と深川はワープ許可エリアで7年前と変わらない艦に乗り、待機していた。
『それでは、早速ワープしていただきましょう!』
「よっしゃ、いくぞ?」
「おう 座標は送った」
「さんきゅ っしゃ!久しぶりだな!いっけえ!」
艦が一気に加速していく。そして、一瞬目の前から星の光が消えたかと思うと、また星の光が現れた。さらに目の前には青く光る星が大きく輝いていた。
『じ・・・実験成功です!』
司会者の声に続いて歓声が聞こえてくる。
「すげえ!地球だ!さっきまで赤い星にいたよな!?」
「大成功、だな はあ~・・・本当に成功させたよ・・・すげえな、ベル博士」
「これで・・・またワープ使って探検行けるんだな?」
「だな」
「・・・色々あったな この7年間・・・」
「・・・急にどうした?」
「いやー思い出してたらさー ・・・結構楽しかったなーって」
「散々愚痴言ってたお前がそんなこと言うなんてな」
「いやでも!絶対ベル博士達の前では言わなかったじゃん!?成長してね!?」
「年を考えるともう少し成長が欲しいけどな お前もそろそろ30歳だろ?」
「歳で変わる必要なんかねえだろ?」
「・・・急に、ちゃんとしたこと言うよな お前って」
「いつもちゃんとしてねえみてえじゃん」
「正しく伝わったようでよかった」
「こんにゃろー こう見えてもちゃんとしてるぞ!見ろこの本!」
「ああ、懐かしいな あの全然読み進まなかった本だよな?」
「そう!その通り!その本がなんと・・・昨日の夜読み終わりました!」
「・・・・・・まじ?」
「マジマジ!どうだ!驚いたか!」
「お前何年その本読み続けてるんだよ・・・」
「いやおれ、物持ちいいからさー」
「なんか意味違う」
「まあいいじゃん!おれの成長を感じろ!」
『素晴らしいですね~!』
「んあ!?なんか今誉められた気が・・・」
「・・・あ!そうだ!そうだった!マイク!オンになってたろ!全部聞かれてるぞ!」
「・・・あー!やばい!忘れてた!」
『ふふ、聞かせていただいてましたよー!』
「・・・これって・・・全宇宙に電波飛ばしてたよな?」
「あっはっは!おれたち有名人だ!」
「うるせえ!早く黙れ!これ以上恥をかいてたまるか!」
「なに言ってんだ!もっと喋って有名になるぞ!」
「お前はなにを目指してるんだ!やめろ!」
二人は、笑顔だった。そして、みんな、笑顔だった。
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