第41話迷宮ホウリョー8

俺達は洞窟に向かう道を歩いてる。


長い距離を歩いてるが洞窟に着かない。


歩いてる間に倒れた冒険者が放置されている。


助けるのは無理そうだ。


息はしてなく心臓が止まってる。


「先生…これは・・・」


「ヴァイス!前に教えたな?


盗賊の時と一緒だ!


弱かったから死んだんだ!


仲間に助けて貰えずここに残ってるんだ…


今回は集団行動だから後で残ってたら


べラムまで運んでやろう…


もしかしたら家族が居るかも知れない…」


「わかりました…先生…」


俺はヴァイスに盗賊の時の教材を思い出させて


後で弔う事を伝えて先に行く。




俺達が洞窟に着くと高い壁があった。


洞窟に迷路の入口に着いたらしい。


「洞窟に着いたがまだ迷宮核は壊されてないな…


まだ迷路で悩んでんのか?


それとも強力な魔物を倒せなくて


破壊できてないのか・・・時間は…」


俺がその懐中時計を見ると午後2時。


突入して4時間が経過している。




「なぁヴァイス?今、午後2時で


突入して4時間経過してるんだが


迷宮ってこんなに時間掛かるのか?」


「分かりませんけど・・・


4グループの団体が砦の入口4ヵ所から突入して


人海戦術で攻めていてこんなに遅いのは


おかしいですね?


僕達見たいに寄り道したならともかく…」


「ヴァイス殿?寄り道ではなく調査ですよ?」


「キュイ!」


「ごめんね!調査だったね!それでも最後列に


位置する僕達が来ても終わりの合図が無いし…」


「そうだな・・・まぁ、とりあえず


迷路を踏破するとしますかね!」




洞窟の迷宮は迷路となっており人を惑わし導く。


魔物が徘徊し各所に行き止まりを設ける。


迷路は広く複雑となっており


当初は野球場の広さが今は村と変わらない広さ。


広大な迷路を形成していた。


迷路には宝箱が存在し理屈は知らないが


宝石や武器が収められている。


箱の大きさと中身の大きさの違和感を感じるが・・・


定期的に箱は姿を戻し中身が入る。


そういう探索をしながらも迷路を踏破しなければ


先にある最奥の迷宮核に辿り着く事は難しく


疲弊した精神と肉体で守護する魔物と


戦わないといけない。


迷路には高い壁がそびえて通路を作り


冒険者を迷路に誘う。


天井は高く壁よりも上にある。


広大な謎解きの場へと導く。


迷路には幾つもの声が様々な感情を混じらせ


響き渡る。


そんな迷路の中、トキ達は・・・




「緊急案件だろ?通常ならまだしもよ?


楽しむ必要ないし


態々苦労する必要は無い!だろ?


フィル!飛んで徘徊してこい!


宝箱は優先で回収し出口まで案内頼む!


俺達はその間待機だ!」


「了解しました!主殿!」


フィルに大きな特製の伸縮性ある袋を渡して


迷路上空に飛ばした。




「先生?これって…ありですか?」


「ん?ありだろ?本来なら壁を破壊して


一直線に進むがやるつもりはない!


悩み苦労せずに迷路を進む為には


フィルを案内にして踏破するのが最善だ!


ついでに宝箱も回収させウハウハだ!


突入して4時間経ってんだ!


迷路に悩み宝箱に目を奪われ探す…


目的を忘れた冒険者よりは健全だろ?」


「まぁ・・・そうですけどね…」


「実際大きな迷路を律儀に動いて


魔物と戦い疲弊するよりも守護する魔物に


力を温存するのが一番だ!


本当は壁を歩く予定だったが・・・


迷路の尊厳は守られるだろ?」


「・・・これ僕達しか考えないですよね?


壁登り壁を歩くなんて考えないですよ?


フィルに上空で確認させて案内させるなんて…


普通は…当たり前の様に歩いて挑みますよ?」


「そりゃそうだ!当たり前に動くのが人だからな!


目的忘れた冒険者よりは仕事をしてるぞ?」


「分かりました・・・先生…」


ヴァイスはトキの考えに呆れていたが


突入して時間を掛けてる以上仕方ないと


納得しフィルを待つ事にした。




数分後迷路からの声が消える事は無かった。


迷路に悩む声、魔物に襲われる声、勇敢に闘う声、


宝箱を見つけ中身がなく嘆く声、


宝箱の中身に驚く声などが迷路に響く。


「頑張ってるな!苦労してる人の声だ!


目的を忘れてる人の声だな!


完全に迷宮核の破壊を忘れてる声が聞こえるぞ?」


「そうですね・・・迷路の広さに悩み苛つき


魔物に襲われ疲弊して宝箱に気付き中身に喜び


中身が無ければ嘆き次を探す・・・


これが冒険者なんですね?


人と思うべきなんでしょうか…」


「キュゥゥ…」


「・・・人だろうな!死と欲が並ぶ迷路に


溺れて今に至ると・・・


人とは悲しい生き物だ・・・


人生に苦労は必要だが苦労に対する考えがな・・・


目的の為に苦労するのは当たり前だが


自ら苦労を選び目的を忘れる…


哀れな者だ・・・」


俺とヴァイスは人について考察していた。


18歳と10歳が至る境地ではない。




「主殿ー!全ての宝箱の中身集めましたよー!」


「ここにも哀れな生き物が居たな…」


「・・・ですね…」「キュゥ…」


俺達はフィルに哀れみのある目で見ていた。


「主殿!見てください!この数!


質が高くて宝石も大きい!それが


大量ですよ?大量!まさか予備の袋まで


使うとは思わなかったですよ!!


流石主殿!ここまで見越して・・・


痛い!!何するんですか?主殿!


痛い痛い!!ヴァイス殿とルティ殿まで…」


「フィルの目を覚まさせようとな!


宝の亡者となった奴は当然の結果だ!


副目的が主目的になってるから罰だな!


集めたのは差し引いてマイルドコースかな?」


「主殿ぉ…あれはマイルドなんてものじゃないです…


許してください…確りと出口見つけましたから…


勘弁してください!!お願いします!!!」


フィルは器用に土下座する。


「分かった・・・マイルドから下げて


ライトのレアにしてやる!良かったな?


ライトのウェルダンじゃあ無いぞ?


喜べな!ちゃんと目的果たしたから


下がったんだからな?


それじゃ出口はどこだ?案内しろ!!」


「ライトのレアもきついじゃないですか…


主殿は鬼…いや竜より恐ろしいですよ…


出口は隣の壁の奥です!壊して直ぐにあります!」


「なんだと!?・・・奥だと勘違いしてたが


隣とはな・・・そりゃ時間掛かるわけだ…


認識を錯覚させて迷わせる…


欲に溺れて死へ誘い迷路内を漂わせる!


厄介な迷路だな・・・」


「ですね・・・ここまで不思議な迷路は


聞いたこと無いです・・・


斥候は確りと迷路を踏破して迷宮核を見つけたと


思いますがそれなりに時間は掛かったはず・・・


地図を作ったと聞いて無いですからもしかして


宝を集めて満足したら偶然出口を見つけて


迷宮核をって話なのでは?先生?」


「・・・可能性有りで大きいな!


その斥候も見つけて問い詰めて説教だな!!


正直察知能力が高ければ直ぐに分かるはずだし


巨大な魔物の気配を探れば一発だ・・・


今回はあえてしなかったが調べたら


隣の奥から気配するしな!!


シルド達も近くにいるようだ…」


「シルドさん達に幻滅しなくてすみましたね!」


「キュイ!」


「ヴァイス…そう…だな…未だに迷路に居たなら


・・・ハリーと同じ修行を課してたぞ?


ランクAがこんなならッてな・・・」


「先生…笑顔になってます…怖い笑顔に…」


「キュゥゥ…」


「すまなかったな…では遠慮なく破壊して


出口に向かうとしようか!そりゃ!!」


フィルの集めた袋をストレージにしまう。


トキは軽々と出口に向かい振り向き壁を破壊した。


厚さ1mある壁を簡単に…


構えも無く単に裏拳で叩いただけだ。


ズシン!ガラガラと音を響かせ崩れていく。




「よし!行くぞ?早く終わらせよう!」


「先生は異常を超越してる気がするよ…」


「キュイ!キュイ!」


「主殿~…修行は勘弁してください~…」


トキの行動を見て


それぞれ考えを口にして場所を移動する。


壁を抜けた先には入口と同じ形の出口がある。




「なるほどな…迷路から逃げて来て


迷路の入口と思ったら出口でしたと…


安心して入ると迷宮核の守護魔物にやられると…


良い趣味してるな!この迷宮はよ!!」


「悪趣味ですね…先生…核が考えたのかな?」


「長年の経験で出来たんでしょうね…


迷路を見て分かりましたが当初は奥に出口があり


様々な冒険者が迷宮へと足を運んだ!


その時に人の心を勉強したんでしょう…


砦と核が融合した事で迷路を変化させ


悪意に満ちた迷路に変えたと…


知性ある核ですね・・・主殿?」


「キュゥ…」


「そうだろうな!単なるシステムなら


魔物造り、宝を用意、自分を守るだけだったが


長年核は人の手で守られ破壊されなかった!


少しずつだが人を理解していく。


対応策も考える…魔物を増やしたりな!


ある日砦と融合して砦の過去を得たんだ!


悪意に満ちて知性を持つのも分かる・・・


だがそれも今日で終わりだ!!


魔物や宝は人に利益を与えた…


危険度も少なく冒険者の質を振るい


死と生を分け実力を鍛えさせた迷宮だった…


しかし自重しないで行動をした結果が


保護から討伐へと人は考えてな…


ある意味俺達の違う先の未來の姿だ!


ヴァイス!フィル!ルティ!理解しろよ?


テストに出すからな?覚えとけよ?


では迷宮を考察した事だしシルド達と合流しよう!


何人いるかな?実力を持つ者は…


そして悪い未来の末路を終わらせるとしよう!」


トキ達は迷宮について考えた。


迷路についてや迷宮核について・・・


結果、自分達の悪い未来の姿を思わせ終らせる事にした!




迷宮核に向けて歩いてると疲れて休む冒険者が


壁に並んでいた。


目的を忘れなかった者達だと思う。


宝を持たず次の敵に向けて体を養う。


そんな姿を見せていた。


それを見て暫く歩くと迷宮核に繋がる


部屋の前で怪我をして回復している


冒険者が複数いる。


話を聞くと迷宮核の部屋の前に


10体の巨大で強力な魔物人形ロックゴーレムと


人形魔物人形ロックパペットが


軍の様に指揮しながら警戒していると。


魔物を見た冒険者達は各自で撃破していたが


ロックパペットの数が多く体力を消耗してしまい


集団で交代しながら魔物を撃破していると。


今はロックゴーレムが4体、ロックパペットは


最初の半分まで減らしてここにいる。


この冒険者達はつい先程交代したばかりだそうだ。


「なるほどな!情報ありがとう!」


「お前達まだ子供だろ?危険だぞ!」


「冒険者に年齢は関係無いな!


しかし忠告は感謝するよ!」


「そうか…そうだな…俺達はまだ休む…


大変だが死なない様に頑張ってくれ!」


「あぁ!頑張るさ!」


冒険者に話をして魔物部屋に向かう。




「先生!良い人でしたね!」


「キュイ!」


「同意見です!主殿!」


「そうだな…あの人が無事生きて帰る為にも


依頼を完遂しないとな!」


俺達は優しさを感じて前を歩く。


シルド達がいる魔物部屋に足を踏み込んだ・・・

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