第38話 妹の名前は……

「妹さんの名前は……」

 クリスは、ボクの手をギュッと握りしめた。


『ゴックン……』と唾を飲み込んで彼女の瞳を見つめた。

 心なしか、身体が震えた。


「……クリスだ! キミと同じね……!!」

「え……!?」


「高遠クリス……

 それが妹の名前だよ!!」

「高遠…クリス……」呟くように繰り返した。


「ああ……偶然にもねぇ…!!

 あの日以来、お母さんもお父さんもボクを見ようとしない……

 家でも学校でも……ずっとボッチだった……

 あの日、消えた妹と一緒に幸運が両手をつないで逃げて行った……

 そう言う感じさ……」

 自嘲気味に微笑んだ。

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