第14話 眠れない夜
最近寝つきが悪い。
夜が嫌いだ。
寝るのが億劫で仕方ない。
そんな時はショパンを聴くのさ。
そんな時は英語のラジオを聴くのさ。
それでも眠れない夜は
宮沢賢治先生の詩を思い浮かべるんだ。
死んだ妹のために宛てた詩を。
ああとし子
死ぬといういまごろになって
わたくしをいっしょうあかるくするために
こんなさっぱりした雪のひとわんを
おまえはわたくしにたのんだのだ
ありがとうわたくしのけなげないもうとよ
わたくしもまっすぐにすすんでいくから
(あめゆじゅとてちてけんじや)
はげしいはげしい熱やあえぎのあいだから
おまえはわたくしにたのんだのだ
銀河や太陽 気圏などとよばれたせかいの
そこからおちた雪のさいごのひとわんを……
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