スマイル

いつもにこにこして

悩みごとなんか一つもなくて

大きな声して笑ってる


でも、ほんとうは無愛想ぶあいそうで神経質で

気弱なこびとです


ある日 こんなこびとの正体を見抜いて、

やさしく支えてくれる大人の人間が

現れました


そのひとも昔、こびとだったんですって……


そのせいか ぼくも少しずつ

心をひらいて

そのひとに近づけるようにと

やさしい空気を食べつづけました


冬の朝

そのひとは

突然ぼくの前から姿を消して


さいごに作ってくれたお弁当は

海苔のりがスマイルの形をしていて、

泣き顔のぼくはそれを一気に平らげました

そして、

また

元のこびとへ戻りました


はじめは彼女をうらみました

こんな弱いこびとは

社会に適応しづらいですから


もうすぐ

5回目の冬が来ようとしています。


今なら彼女に向かって

ありがとうと言えるんじゃないかっておもいます


にこにこでも

がははでもない

本物ほんものの笑顔で。















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