ぼくの色

子供のころ

自分と他の子との違いを言われるのが

物凄く怖かった


九九が言えなかったり

靴ひもが上手く結べなかったり

跳び箱も一段だってむずかしかった


逆上がりもダメだったなあ…


みんなが当たり前にできることが

できない


普通の子はできて「当たり前だよっ!」

ってことができない


そんなだから

時々

漢字のテストで満点取ったりすると

周りの子や先生が変な顔してた


でも あのころ

なぜか両親はぼくのことを叱らなかった


算数の宿題のとき

父親はぼくが独自の方法で

間違った答えを導きだすのを

横で、目を細めて見てた


お風呂でメチャクチャな歌を

歌ってたら

母親が、いきなり入ってきて

うるさいって怒られるのかと思ったら

「もっとおなかから大きい声出して歌わないと立派な歌手にはなれないわよ」

……だって


いつのころから

何となく他の人と同じ様に

こなせるようになったのだけど


両親には全く誉められることがなくなった


最後に誉められたのはいつだったっけかな…


やっぱりあのころかな








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