プロローグ

- プロローグ -


これは300年近く続くケリド帝国が舞台である昔話。

ケリド帝国の皇帝の娘、エルナという少女が主人公。エルナは女神のような綺麗な顔をしていて帝国民からとても人気があった。帝都から出たことがなかったエルナは外の世界に憧れ、ある日宮廷から逃げ出してしまう。初めて見た外の世界はエルナにとってはとてもキラキラしていて見惚れてしまうほどだった。そんな中、偶然宮廷の警備官であるエミリオに出会ってしまった。エミリオはエルナをすぐに宮廷に連れ帰ることはなくエルナの宮廷での不満などを聞いていた。そんなエミリオにいつのまにか恋をしてしまったエルナは宮廷には戻りたくないと言い出す。困り果てたエミリオはしばらく一緒に暮らすことにしたがエルナを探しにきた帝都の兵士たちに見つかってしまう。そしてそのまま宮廷に連れ戻されてしまった。さらにエミリオがエルナを誘拐したという罪にかけられ牢獄に送り込まれた。どうしてもエミリオを助けたかったエルナはエミリオの元へやってきて牢獄からだそうとするもエミリオに止められる。ここでエミリオを逃したらエルナが罪を背負うことになってしまうと。エルナはどうすることもできなくなり悔しい思いで幾度もエミリオを逃す方法を考えた。するとエミリオは必ず迎えに行くからとだけ言ってエルナを返した。エミリオの言葉を信じエルナは待ち続けた。

エミリオを待って5日、ついにエルナの元へエミリオがやってきた。迎えにやってきたエミリオの体は返り血を浴び、別人のようになっていた。瞳や肌の色、吸血鬼のような歯、そして悪魔のような耳、人間であって人間ではない容姿になってしまったエミリオは宮廷にいる兵士や皇妃をすべて殺してエルナを迎えにやってきたというのだ。幸い皇帝の命は助かったが肝を冷やし、エミリオにエルナを渡し宮廷から追いやった。謎が深まるばかりのエミリオを皇帝は『悪鬼』と呼び、それから二度と会うことはなかった。エルナは帝国民からもすっかり嫌われ者になったエミリオを愛し続け最後を迎えたという。

それから『罪を犯すと悪鬼が宿る』という噂が流れた。

今現在悪鬼というのは存在し、『罪を犯すと悪鬼が宿る』という噂は本当になった。普段は人間と変わらない容姿をしているが悪鬼になるとバケモノのようになる。だが罪を犯せば誰でも悪鬼を宿すというわけではなく未だに謎多き存在となっている。

その謎多き存在である悪鬼を宿した6人の男たちの物語が始まる。

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