第13話 かっちゃんは誰がすき?

 今日の晩御飯はお母さん特製のわたしが大好きな煮込みハンバーグだ。


 いつもならお代わりしたくなるぐらい美味しいのに……。


 お腹が空いてるはずなのに、ご飯が喉を通っていかない。


 わたしは『かっちゃん大好きだよ』が溢れちゃいそうにいっぱいで。

 なんだか、ご飯が入らないんだ。


 お父さんは残業で遅くなるみたい。


「あれ? ゆいは今日は食欲ない? 風邪かしら?」


 少し晩御飯を残してしまった。


「ううん。お母さん、大丈夫。お風呂の時間までわたし、お部屋で本読んでるね」


 お母さんは心配そうだった。


 だってね。

 大好きなハンバーグがどうやっても胸がいっぱいで入らなかったんだ。

 今日はかっちゃんのことばかり考えたからか、胸のあたりがいつもより苦しくて。


 でも……。

 かっちゃんは誰のことが、好きなんだろう?


 わたしはかっちゃんの顔を思い浮かべて、考えるだけでやっぱり胸が苦しくて。

 ぎゅっとなる。

 痛いぐらい。


 今日もさっきまで会っていたのに、また早く会いたい。


 早くかっちゃんに会いたいな。

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