スレイン法国に天罰下る
「なにか作戦行動中ですかな?」
おそらく周囲警戒をしながら行軍していたのでしょうが・・・、お粗末ですね。
「貴様、何者だ。」
「私はグレンデラ自衛軍北東遊撃隊隊長ホー・クト、主の命により貴方方の相手をせよと仰せつかったものです。」
「ふん、それでその主とやらは私に何の用だというのだ。」
「はい、現在我が主はこの先にある村の状態を見て、周囲を警戒しておりまして。そんな中あなた方が近づいてきましたので、何か知っているかもしれないと判断し、私が先振れとして参った次第です。」
どうするか考えているようですね。さて、どう出ますか?
「なるほど、貴方の主人は村に滞在しているのか?」
「はい、村を襲っていた騎士たちは既に対処済みで、今は王国戦士長殿とお話をされている頃です。」
「なに?・・・、そうか、各員!天使を召喚せよ!」
あー、やはりストロノーフ殿が目的でしたか・・・、しかし、これは我が主にも手を出すという判断でしょう。
「ふむ、敵対するという事ですかな?」
「はっ!これだけの天使を見て、何を悠長なことを。天使を突撃させよ!」
やれやれ、範囲攻撃は得意ではないのですが。
「
私は彼らを拘束する為、血の鎖によって拘束しましたが・・・、やれやれ、私の血しか使っていない非常に脆い物だというのに・・・、何とも弱い。
「なっ!人間ではなかったか!」
「それが何か問題が?」
「くっ、各員魔法であいつを攻撃せよ!」
面倒ですね・・・、拘束された時点で諦めればいいものを。
「ワイデンマジック!マス・ホールド・スピーシーズ!」
さて、抵抗できたものは・・・いないですね。
「では、皆様方我が主の下へご案内いたします。」
私は彼らを移動させるための人員を呼んでから。マスターへと御報告する。ふー、デミウルゴス殿の助言を貰うまでもありませんでしたね。
「ホーよ、状況の説明を。」
「はっ、この者たちは、私がマスターとストロノーフ殿の下へと案内をしようとしたところ、こちらに対して攻撃の姿勢を見せてきましたので、拘束をしました。」
今俺の目の前には、法国の特殊部隊と思われる者たちが、なにか魔法だろう手段で拘束されている状態で、周囲に自衛軍の方々に包囲されている状況が広がっている。
強いとは思っていたが・・・、ここまで圧倒的だとは。
「ふむ、そうか、やはり目的はストロノーフ殿か。」
「はい、ストロノーフ殿のお名前を出した途端態度を変えましたので、間違いないかと思います。」
パリン
「ん?サトル殿あれは?」
「あー、あれは私の事を誰かが魔法で覗き見ようとしたのでしょう。その魔法が弾かれたときに起こる現象ですね。」
えー、どんな魔法をカウンターに登録してたっけ?
スレイン法国の地下深くにある漆黒聖典の詰め所。
特殊部隊群の中でも特に秘匿性の高い漆黒聖典は闇の神殿地下の奥深くにその拠点を保有している。
そんな、地下基地を一人の隊員が走っていた。
まずい!まずい!まずい!
バン!
「隊長!今すぐ土の神殿で行われてる儀式を中断させて!」
「落ち着きなさい。占星千・・・」
急に激しい揺れに見舞われ隊長が口を閉ざす。
「説明を、何を見たのですか。」
「はい・・・、この国は神の怒りに触れました。」
スレイン法国、人類至上主義を掲げる六大神を神とする宗教国家である。
この国の首都は神都と呼ばれ、敬虔な信者たちが日夜六つの神殿を巡り神に祈りを捧げている。
だが、今日この日よりスレイン法国はその姿を激変させることになってしまう。自らが犯した行動により。
昼を少し回り、午後の仕事へと繰り出そうといった雰囲気の中それは起こった。
中央神殿上空で大爆発が起こり、神殿にて参拝していた者達はすべて死亡。その周辺の居住区に関しても被害甚大であり、その爆発の直後から、身体に不調を訴えるものがあちらこちらで見受けられるようになるが、次の瞬間空には神の使いたる天使が降臨し言葉を落とす。
この時同格の存在の悪魔とアンデッドも召喚されたのだが、住民たちは天使へと視線が釘付けになり誰も気づかなかったようだ。
「我が
この日スレイン法国で天罰として振り下ろされた、神の鉄槌を生き残った神官長は闇と光の二人のみ、この二人はこの言葉を受け行動を開始することになる。
あー、確かワイデンマキシマイズマジック・ニュークリアフレイムとその後にサモン・エンジェル・10thとサモン・デーモン・10thとサモン・アンデット・10thが発動するんだったなー、正直嫌がらせ程度の意味しかない魔法なんだが・・・、う~ん。
モモンガは自分の目の前で拘束されている者たちを見て。
あー、ちょっと、確認した方がいいかな?
(メッセージ、どんな状況?)
(おう!偉大なる我が主たる神よ!)
(お、おう・・・。)
(我が主を許可なく覗き見ようとした不埒者が居た都市の中心部は、見事壊滅しております。)
(そうか、では、今後同じことをしなければ、こちらから何か攻撃的行動をしないというのと、同じことを繰り返さないように釘を刺しといて。それと、今回の件について落としどころを探りたいから、こちらから後日使者を送り話を聞きに行くことも伝えておいて。それで、それまでの間は任せるよ。)
(はい、畏まりました。我が主よ。)
うわー、流石天使・・・、神呼びだったよ俺の事・・・。まー、これは後で何とかしよう。彼らもニュークリア・フレイムで亡くなった人たちの魂を大量に回収できたからか、消えるような感じではないしね。
しかし、レベルが高い存在の永続化は、レベルが低くても大量にあればいけるというのは収穫だな。
「ストロノーフ殿すいません。ちょっと、この場を覗こうとした者たちの所に送り込んだ、配下の者と確認していまして。」
「いえいえ、しかし、サトル殿は凄まじいまでの力を持っておられますな。」
「ありがとうございます、ガゼフ殿。さて、向こうに関してはその配下に当面の間は任せましたので、こちらはこちらで話を進めていきましょう。」
「そうですか。して、彼らの処遇なのですが、出来ればその身柄お渡しいただきたい。」
「そうですね。この国で起こったことですし。後の事はお任せした方がいいでしょうが、念のために私の軍からも何名か出向させ同行させても?」
「それは構いません。寧ろこのような精強な軍の方々が同行してもらえるとは、こちらとしても心強い。」
「では、この村の生存者の事もありますので、出発は後日ということでいいですか?」
「そうですな。私たちの隊も連日の強行軍で疲労が溜まっています。ここで少し休ませたいところですしな。」
「戦士団の皆さんはここで野営を?」
「そうなりますな。」
俺は彼らの装備を見る。うーん、テントとかも持ってないようだし・・・。少しサービスしておくか。
「なら、こちらで寝所を用意しましょう。」
「いや、流石にそこまでしてもらうわけには。」
「なに、お気になさらずに非常に簡素なものですから。」
「そうか、法国がね~。しっかし、今回来たやつは初動から飛ばすねー。」
その悪魔は配下からの報告を聞きそうつぶやき、
「なら、楽しめるかな?」
と、続けるのだった。
その日の夜、カルネ村の周囲にはいくつか目新しい小屋が建ち、その周辺は天使やアンデットそして、グレンデラ軍が守護していた。
そんな新たに建てられた小屋の中で、ガゼフと副長は寛いでいた。
「しかし、隊長これは簡素・・・と言えるのですかね?」
「あー、それだけの財を保有しているのだろう。」
「武力・財力共に底が知れない御仁です。」
「そうだな、正直この話を持ち帰り貴族たちに知らせるのが憂鬱だ。」
「確かに、アインズ殿の不況を買い、もし、国と敵対されでもしたら。」
「王国は終わるだろうな。はー、政治から身を遠ざけていたのは失敗だった。」
スレイン法国の現状からすれば、彼らの悩みはかなり楽なものではあるが、もしもの場合を考えると、非常に暗い表情になってしまう二人であった。
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